2012年05月23日

ホームレスヴィジュアル系



解散したヴィジュアル系ロックバンド・SHAZNAの下積み時代。
本人たちが語る、当時の苦しさと、それを重く感じさせない軽快な語り口。
音楽業界、芸能界の真実と、成功の法則を見た気がします。

ホームレスヴィジュアル系



目次
1章 バンド駆け出し貧乏時代(あてどないメンバーさがしの旅(IZAM)
人間凶器の丘バンドマン(NIY) ほか)
2章 どん底からの脱出(『一年計画』始まる(IZAM)
消費者金融とレコーディング(AOI) ほか)
3章 栄光への道(LUNA SEAのスタッフ?(IZAM)
ひきこもり狂奏曲(AOI) ほか)
4章 新たな幕開け(活動休止の理由(AOI)
家族の崩壊(NIY) ほか)


麒麟・田村裕さんの「ホームレス中学生」のパロディのようなタイトルですが、ロックバンドとして成功するという夢のために、苦しい生活を余儀なくされる彼らの姿から、芸能界の裏側や若手ミュージシャンを食い物にする大人たちを知ると同時に、やはり一度は「時の人」となった彼ら独特の魅力を見出すことができました。

SHAZNAが「時の人」だった当時、僕は中学生でした。
インディーズ時代からTVに出たりして注目されていて、僕もそのヴィジュアルに惹き込まれるように夢中になりました。
でもほとんどの人は、彼らの、特にボーカル・IZAMのヴィジュアル以外に、魅力を見出すことはできていなかったのではないでしょうか。
「ヴィジュアル系ブーム」と呼ばれる時代の中で、SHAZNA、L'acryma Christy、MALICE MIZER、FANATIC◇CRISISが「ヴィジュアル系四天王」と称されました。四組とも、もう解散してしまいましたが、そう呼ばれるだけの人気は、それぞれにあったと思います。

この四組の中で、SHAZNAが音楽的なレベルは最も低く、かつ、ヴィジュアル系バンドファンを除く一般的な人々には最も知られたバンドだったように思います。
とても不思議なことです。

SHAZNAがあまりにも下手だという訳ではなくて、他のバンドは、インディーズで有名だったバンドが組んだり離れたりというメンバーチェンジを繰り返しながら成長し、「ヴィジュアル系」としての様式美を作り上げてきた、実力派のバンドであるのに対して、SHAZNAはほぼ彼ら、特にボーカル・IZAMのアイディアと情熱だけで、ソングライティングに長けたギター・AOIとムードメーカーのベース・NIYを惹き付けてやってきた、音楽的な実力は普通だけど、情熱とまとまりには長けた異色のバンドです。
この本の中でも、始動当時の強引とも言える営業手法を駆使して、人気を集めていく姿が語られています。
そういう意味では、彼らが音楽業界、芸能界の中で、これほどまでに振り回されることがなければ、ヴィジュアル系バンドブームが去った後も、バンドとして一つにまとまって、細々とでも、活動を続けられたのだろうなと思います。

当時の彼らを振り返ると同時に、ミュージシャンに限らず、「夢はどうすれば叶うのか?」それを考えられる一冊だと思います。

ホームレス中学生 (幻冬舎よしもと文庫)
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2012年04月30日

弱い日本の強い円 (日経プレミアシリーズ) [新書]



為替相場について、目からうろこの連続でした。
ちょっと難しいところもありますが、理解できてしまえば、世の中の見方が正しく変換されます。

今は少し落ちついてきたみたいですが、円高ですね。
どうして円高になるのか、TVを見ているだけではよく分からなかった。
この本を読んで、その意味がよく分かりました。
TVなどの情報ってものすごくアバウトなんだなぁってことも学べましたよ。
手軽な新書で読めるので、オススメです。

弱い日本の強い円 (日経プレミアシリーズ)



目次
第1章 円高と円安―その本質を理解する
第2章 為替の市場とはどんなところか―ディーリング・ルームで行われていること
第3章 国力が為替相場を決めるわけではない―長期的な為替相場変動の要因
第4章 円に買われる理由などいらない―中期的な為替相場変動の要因
第5章 強い雇用統計で売られるドル―短期的な為替相場変動の要因
第6章 米ドルは最弱通貨
第7章 米金利が下落すると円高になる―金利の動きと為替相場の関係
第8章 介入で「円安誘導」などできない―介入のメカニズムと効果
第9章 「対米ドル」相場一辺倒の時代は終わった―これからの為替市場と政策課題

とりあえず、全部読んでみて下さい。
と言ってしまっては元も子もないので、第1章からちょっとだけ、内容を引用します。

P18 第1章円高と円安
まず、「為替相場は国力の違いを反映する」「経済力の弱い国の通貨は売られる」「人口減少がその国の通貨の下落に繋がる」という間違った先入観を捨てて欲しいのである。


P25 第1章円高と円安
厳密には、アナウンサーが言う「78円10銭から15銭で取引されています」は間違いになる。正しくは「市場で米ドルを売りたいなら78円10銭で売れます。米ドルを買いたいなら78円15銭で買えます」であって、78円10銭と15銭の間には何もないのだ。


P32 第1章円高と円安
為替相場を理解・分析するには、必ず上記のように一定の主要通貨の動きを全体的に見る必要がある。為替相場を株式相場にたとえると、「米ドル/円相場」を「A社株」のように一つの会社の株価に見立てて、「米ドル/円相場」が上がった、下がったといった見方をするのは適切ではない。むしろ、「米ドル」「日本円」というようにそれぞれの通貨を一つの株式のように考え、為替相場は「A社株」と「B社株」との交換比率のように考えるべきなのである。このような視点から為替相場を見ずに、米ドル/円相場の動きだけを見て変動の理由を
あれこれ考えても正しい答えは出てこないということだ。


P34 第1章円高と円安
日本では一般的に為替相場といえば米ドル/円相場なので、これが下落すると、それはイコール「円高」と考えられてしまう。実際には「ドル安」により米ドル/円相場が下落していても、日本では「円高」と呼ばれてしまう。しかし、これまで説明してきたように、米ドル/円相場が下落することが即「円高」ではない。一方、ユーロ/円相場が下落するという現象はたいていの場合「ユーロ安」と呼ばれる。ユーロ/円相場が下落している時、その理由が「円高」であることも多いのだが、ユーロ/円相場の場合は「ユーロ安」と呼ばれる。こうした、いい加減な呼び方が定着しているので、「為替相場はわからない」ということになってしまうのである。


P36  第1章円高と円安
例えば朝、目が覚めて米ドル/円相場がロンドンとニューヨーク市場で上昇していたとしよう。その時、すぐにユーロ/円相場を見て欲しい。ユーロ/円相場も米ドル/円相場と同程度上昇していたら、米ドル/円相場上昇の背景は「円安」である可能性が高い。その時は確認のためにユーロ/米ドル相場を見て欲しい。おそらくユーロ/米ドル相場はあまり動いていないはずである。もし米ドル/円相場、ユーロ/円相場の両方が上昇していて、ユーロ/米ドル相場がほとんど動いていなければ、ロンドンとニューヨーク市場での米ドル/円相場の上昇は間違いなく「円安」によるものである。


P38 第1章円高と円安
日本の景気がよいと円安になる
(中略)
世界的に株価が上昇するような市揚環境で、世界の投資家や企業が積極的にリスクを取って対外投資を活発化させるような状況を想像して頂きたい。もし、世界中のすべての企業や投資家が、自分が保有する資産の1%を対外投資に振り向けたら、どの通貨が売られるであろうか? 答えは簡単である。それはお金を持っている投資家や企業が多くいる国の通貨である。世界中の人が同じ比率で対外投資をするなら、元々の投資資産をより多く持っている国の通貨が売られることになる。そして投資資金を多く持っている国は米国と日本。つまり、世界の投資家や企業が積極的にリスクを取って対外投資を活発化させるような状況で最も売られるのは、米ドルと円になるのである。だから世界景気が上向きな時は米ドルと円が弱くなるのだ。
一方、世界的に株価が下落するような市場環境、つまり世界の投資家や企業がリスクを回避しようと思う時は、投資資金を手元に引き戻そうとする。実際に資金を自国に戻したり、投資していた外国債券を売却しなくても、為替リスクだけをヘッジするために外貨売り・自国通貨買いを行うかもしれない。この結果、景気が悪くなり、株価が下落し、投資家や企業のリスク回避志向が強まると、資本フローはお金を持っている投資家や企業が多くいる国に戻ってくる。つまり、米ドルと円がともに買われるのである。
(中略)
日本経済は外需依存度が強いため、世界経済が強くなると日本経済も好転する。そして日本の景気が好転すると、こうした理由により円相場は円安方向に動くのである。こうした動きはこれまでも何度となく繰り返されているが、不思議と今でも「日本の景気が悪くなると円安になる」と思っている人が多い。こうした先入観は早く捨てて、正しい認織を持つことが重要である。


P44  第1章円高と円安
日本が経常黒字国である点と純債権国である点は、米国とは正反対である。米国は日本とは逆に世界最大の経常赤字国であり、世界最大の純債務国である。つまり、この2点は米ドルと円が一緒に動きながらも、反応の強弱に違いがあることを示唆している。景気が悪化し、世界的に株価が下落し、世界の投資家がリスク回避的になる時に、米ドルは円とともに買い戻され、強い通貨となるが、円のほうが経常収支から発生する恒常的な円買いがあるため、結果的に米ドルよりも強い通貨となる可能性が高いのである。逆に、景気がよい時に円と米ドルがともに弱い通貨となるケースでも、日本人投資家や企業が比較的多額の対外投資を行わないと、円が米ドルよりもさらに弱くはならないことも示唆している。


これだけでも、かなり目からうろこだと思うのですが、いかがでしょうか?
第二章以降も、「間違った常識」をどんどん破ってくれます。
一読の価値が非常に高い本だと思いますので、是非手にとってみて下さい。
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To Be Freedom@読書三昧: 「人口減少経済」の新しい公式―「縮む世界」の発想とシステム
To Be Freedom@読書三昧: イノベーションと企業家精神。
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To Be Freedom@読書三昧: 予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」
To Be Freedom@読書三昧: 絵でみる 簿記入門
To Be Freedom@読書三昧: 経済人口学。
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<参考リンク>
金融日記:弱い日本の強い円、佐々木融
弱い日本の強い円となる理由 - 経済を良くするって、どうすれば
円高は止まらない - 『弱い日本の強い円 : アゴラ - ライブドアブログ
強い気持ち・強い円⇒『弱い日本の強い円』 - TravelBookCafe ビジネス書 書評ブログ
活かす読書 弱い日本の強い円
為替について:「弱い日本の強い円」: すぽさん投資ぶろぐ
これ、気に入っています | 弱い日本の強い円
弱い日本の強い円/佐々木融 - 組織人事コンサルタントの情報帳
弱い日本の強い円 | メタノート
弱い日本の強い円/佐々木融 - yyoheiの日記―読みっぱなしの本を整理整頓
佐々木融(2011.10)『弱い日本の強い円』(日経プレミアシリーズ)日本経済新聞出版社: 乙川乙彦の投資日記
弱い日本の強い円/佐々木融: ここにはいないボクへの伝言
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2012年04月29日

ミツバ学園中等部 入学案内



ふかわりょうさんによる、学校案内をコンセプトにしたネタ本。

ミツバ学園中等部 入学案内


もう十年近く前になるけど、ヴィレッジヴァンガードで立ち読みした時に、あまりにも面白くて、親友の誕生日プレゼントにしました。
で、最近唐突に思い出したので読んでみたんですが、びっくりするくらい面白く感じなかった。。。
読む側が変われば、本の内容も変わってしまうのかも知れませんね。

唯一、今も面白いと思ったのは、「過去に出題された問題」という中の、「国語」で想像力を求める問題。
おばあさんと少年の絵を観ながら、その会話を埋めていくのですが、凄い発想力ですw

気が向くことは無いと思いますが、万が一気が向けば、手にとってみて下さい。
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2012年03月27日

1億売るオンナの8つの習慣



だいぶ以前に、アルピニスト・野口健さんの本を読んで、「最重要な仕事力は、『営業力』だなぁ」と思ったことがきっかけで、その後色んな方と接する中でも、「営業力」の重要性を意識しています。
どんな仕事をするにしろ、否、「仕事」と呼べるものでなくても、様々な場面で「営業力」が求められるように思います。
自分を売り込む場面である面接の無い仕事は無いですし、誰かに何かを頼むというのも、的確な交渉、すなわち「営業力」が必要だと思います。

この本は、ハウツー本でもありながら、いかに仕事を楽しむかというところまで、気軽に読める内容になっています。
女性が対象ですが、男性にも気持ちよく読みながら、たくさん学べる一冊だと思いました。

この本を読んだからといって、1億売り上げられるようにはなりません。
けれど、この本に書かれている内容を実践すれば、魅力的な人間になれるというのは、間違いないと思います。
そういう意味で、自分を高められる本として、読む価値が非常に高いと思います。

1億売るオンナの8つの習慣



目次
はじめに

第1章 インパクトは3倍 ファーストインプレッションの習慣
 できる人ほどお客様の「視線」を意識する
 成功顔の秘密は「おでこ出し」にあった!?
 お客様へのファーストアプローチは毎日「決まった時間」に行なう
 初対面では「3つのステップ」でお客様との距離を縮める

第2章 受注につなげるアプローチの習慣
 アプローチの前に仮説を「5パターン」用意する
 「寄り道トーク」でお客様の警戒心を解く
 お客様の笑顔を引き出す「3つのポイント」
 「時間」より「回数」優先のアプローチでお客様の心を埋め尽くす

第3章 相手をハッとさせ、余韻を残す手紙&メールの習慣
 手書きの便せんやちょっとしたひと言にこだわる
 豊富なボキャブラリーでお客様の感情に訴える
 お客様の心をぐっとつかむ「追伸の3行」
 言葉を重ねることで自分の気持ちを強調する
 余計な気遣いを省く「返信は不要です」のひと言

第4章 共感を武器にする交渉の習慣
 「小さく始めて大きく育てる」物語を組み立てよう
 反論のときこそ、冷静に「YES、AND」で展開する
 失敗談や苦労話を披露してお客様との一体感を演出する
 複数のプランを提案してお客様に選んでいただく
 自分の信念や使命感を自分の言葉で伝える

第5章 あと一歩を積極的に進めるクロージングの習慣
 クロージングに成功するための「3回メッセージの法則」
 さらにクロージングの武器として使いたい「3つのM」
 共感クロージングに効く「7つの決めゼリフ」
 失注したときこそ悔しい気持ちを伝えよう

第6章 生涯顧客を増やすための人付き合いの習慣
 「GIVE、GIVE、そしてGIVE」で情報提供に徹する
 紹介営業を仕組み化する「5つのステップ」
 仕事という枠を取り払ってお客様と関わっていく
 「別れ際」を大切にしてもう一度会える状況をつくり出す

第7章 自分のレベルを上げるためのモチベーションアップの習慣
 1億売るセールスウーマンが情報提供で実践する「2つのステップ」
 結果ではなく「行動」のレベルを上げる
 やらずに失敗するよりも「とりあえずやってみる」
 プライベートが充実してこそ「1億売る」結果が出せる

第8章 1億売るオンナの中身! ビジネスアイテムの習慣
 アイテム1 リボン
 アイテム2 セキュリティビュー
 アイテム3 やることノート
 アイテム4 電子辞書
 アイテム5 ブックマーク
 アイテム6 名刺管理ツール
 アイテム7 アラーム機能

おわりに
参考文献

印象に残った部分を引用。

P3
私は、「女性営業の育成や活用のプロフェッショナル」として、企業向けのコンサルティングや研修、セミナーを通じて、女性らしさを活かした営業の強化に力を入れています。と同時に、年間6000人、のべ3万人の方々を支援することを通じて、「トップセールスウーマン」といわれる人たちの成功事例を研究し続けてきました。
「1億売るオンナ」は、そのなかでも選りすぐりの人たちであり、各社、各業界では”憧れの存在”です。彼女たちはみな、マメで人なつっこくて、愛されキャラそのもの。一方で、筋の通った主張ができる強さも持ち合わせています。


P13
多くのトップセールスウーマンの爪先は「美しい」。
そして、その爪は派手でもなく、煌びやかでもありません。シンプルに形が整っていたり、磨かれていたりと、あくまでも自然に美しいのです。


P15
爪と同じく、他人から見られている「先」が「つま先」です。
先日ある企業の研修で、積極的に発言し、ロールプレイングの出来も抜群の女性がいました。
実は研修中、私は何気なく受講生の足下に視線を向けて、足の組み方などを観察してしまうのですが、彼女のような意識の高い人たちには足の組み方まで共通する点があります。それは「常に、見えない部分でも意識している」ということ。
彼女のようなできる人たちの足は、総じて膝と膝が合わせられており(足が無造作に広がっていなし)、そして、靴の先がピカピカに磨かれているのです。


P17
「先」を意識することは、当たり前の身だしなみがきちんとできている証です。それは、単に身だしなみに気を遣うことではなく、仕事力全体のアップにもつながります。その具体的なメリットを2つご紹介しましょう。

1つ目は「相手を思いやる気持ちが上がる」ということ。マナーや身だしなみは、自分が好きで実践するファッションとは違います。どうすれば好感度が上がるか、どういう第一印象であれば相手が心地よく感じるか−−。こうした小さな心づかいが、「相手のために」という思いやりにつながるのですね。
2つ目のメリットは、相手を心地よくさせることで「自分の気分も上がる」ということ。私もマニキュアが剥がれていたりすると、自分が裸になったような気持ちになり、人とも会いたくなくなります。
(中略)
身だしなみに気を遣うのは当たり前のこと。プラスアルファで「先」を意識し手入れすることが、お客様に信頼感を与えます。1億売るレベルのトップセールスウーマンは、わかっているけれどもついケアを怠ってしまいがちな「先」こそが、「「お客様から見られている」ということを、自覚しているのです。

1億売るPoint Check
お客様の視線は無意識のうちに外見、とくに「先」に注がれている。目立つところばかりでなく、「先」にこそ注意を払いましょう。


P23
私は「おでこを出している人」=仕事ができる人、と短絡に結びつけようとしているのではありません。おでこを出している人=自己開示を無意識に実践している人、なのです。それが結果的に信頼につながったり、お客様との距離感を縮めています。
(中略)
1億売るPoint Check
自ら進んで「自己開示」することがお客様の信頼を呼び起こします。少しでもいいので、おでこを見せて誠意を表現してみましょう。


P29
アプローチする時間を決める
通常、テレアポでは朝一番か夕方が、「アプローチのゴールデンタイム」と言われます。いきなり1時間確保するのが難しい場合は、30分からでもOKです。


P32
1億売るPoint Check
「時間ができたらやる」という姿勢では、いつまで経っても成果は生まれません。毎日「集中タイム」を決めて、決めたことをやり続けましょう。


P50
1億売るPoint Check
単なる「お困りのことはありませんか?」というアプローチはNG。お客様がイメージしやすいように「具体的な仮説」を準備して、提案してみましょう。


P57
1億売るPoint Check
営業では結論を急いではいけません。「寄り道トーク」の量×質を高め、お客様の警戒心を解くことから始めましょう。


P58
住友生命が2010年に実施した「スミセイ『スマイル』アンケート」には興味深い結果が出ていました。1日のなかでの「笑顔の時間」について調べたところ、男性が1時間16分だったのに対して、女性は2時間41分と2倍以上の差があったのです。
私はこの結果を聞いて、女性のほうが男性よりも営業に向いている、と改めて感じました。とくに、トップセールスウーマンの商談アプローチを観察すると、「笑顔の時間」がとにかくながく、自分のみならず相手の笑顔をも引き出しているからです。
システム会社勤務のSさんが、「電話先で笑い声になったら、もうアポが取れたのも同然」と言うように、笑顔によって自分とお客様の間の親和性が一気に増すのです。笑顔こそは、相手が自分に対して「同意している」「打ち解けている」ということを示すサインです。


P62
ほめ上手といっても、「ネクタイが素敵ですね」「お仕事ができそうですね」という誰でも言えるような言葉がけであれば、そこで終わってしまいます。喜ばせるコツは、お客様の「行為」についてほめることです。そして、その行為のおかげで自分もこう変わった、という影響力の大きさと成果を伝えること。たとえば、こんな感じです。
「Aさんはとてもお仕事が早くて結果も残す方である、という噂を伺いました。そのお仕事ぶりを見習おうと思って、Aさんがブログで薦められていたビジネス書を購入して、そこに書いてあったことを実践したら、すぐに効果が出たんです!」
こう言われたら、Aさんはきっと笑顔になるに違いありません。


P66
お客様から、「Aだと毎日は顔見たくないけど、Bさんなら毎日でも来てほしいね」という反応を聞いたことはありませんか。つまり、「人による」のです。こう言われると、自分はマメ派なのか、しつこい派なのか、不安に思ってしまいます。その違いはどこにあるのでしょうか。
答えは、相手と接触する「回数」と「時間」にかかわるものです。マメな人、つまり気にかけてもらえる人は、「相手との接触回数が多く、しかも1回の接触が短時間」という特徴があります。一方で、しつこいと思われがちな人は、「相手との接触回数は少ないけれども、1回の接触時間が不必要に長い」のです。


P69
トップセールスウーマンは「小さなマメさ」を習慣化しています。短い時間の接触である代わりに、回数を重ねて相手から好意をもたれるのは、「単純接触の法則」といって心理学でも効果が実証されています。
(中略)
最後に、接触回数を増やすためのコツをご紹介しておきましょう。
@電話、メール、訪問などあらゆる手段を用いてアプローチを図る
A短時間でもよいの、「アプローチする目的」(例:前回の打ち合わせで疑問が出た内容に対する回答を提示するなど)を明確にしてコンタクトをとる
B日頃から「あの人に何を伝えたら喜ぶだろう」と考えながら、情報を収集する
(中略)
1億売るPoint Check
お客様から相談されやすい存在になるために、訪問・メール・電話などあらゆる手段を講じて、「接触回数」を増やしましょう。


P72
一度出会った人に対して御礼の葉書を送ってみる、パソコンで作成した送付状にひと言手書きの文章を添えてみる。普通の人は忙しさを理由にしてなおざりにしてしまうことを、トップセールスウーマンは励行しているように思えます。


P78
1億売るPoint Check
手書きの一文、シールやイラストなどを活用して、手紙や名刺をオリジナルなものに変身させましょう。


P82
それではここで、彼女たちが営業でよく使う「決めゼリフ」について、いくつかご紹介しておきましょう。

●御礼を表す言葉
「これも一重に佐藤さんのお力添えがあったからこそのものだと思うと、何と御礼を申し上げてよいか言葉も見つかりません」
「いつも私どもをお心にかけていただき、うれしい限りです」

●(ほめられた後に)感謝の気持ちを表す言葉
「斉藤さんにそのようなうれしいお言葉をいただき、胸がいっぱいになります。これからもがんばる意欲が、よりいっそう芽生えて参ります」
「温かい励ましに、ますます身が引き締まります」

●感激・感動の気持ちを表す言葉
「奮闘する御姿に大変勇気づけられました」
「リーダーはこうあるべきだと、田中さんのお言葉は心に染みました」


P89
1億売るPoint Check
メールでは、「本文はシンプルに、追伸の3行は感情をたっぷりと」表現しましょう。


P109
<反論/ネガティブコメントをもらったらどうする>
@「YES×YES」でとことん承認する
相手の意見をしっかりじっくり聴く。否定しない。自信たっぷりに「おっしゃる通りですね」「○○さんおご意見に賛成します」と相づちを打つ
A「YES、AND HOW ABOUT 〜」で話を展開する
その1:相手の意見を聴く
その2:代替案を提示する
その3:意見を尊重しつつ、新しい提案があると勧める
B一貫して冷静に交渉を進める
揺るぎない自信があるからこそ、冷静でいられる。この自信こそがお客様を納得させる


P118
1億売るPoint Check
決して臆することなく、自分の失敗談や苦労話をお客様に対して積極的に披露してみましょう。


P149
クロージングに対していただくご返事は、いわば「通過点」。「ずっとお付き合いしたい」気持ちを大切にしましょう。


P153
トップセールスウーマンに共通するのは、自分の気持ちに素直に行動するということ。そして、あきらめないということ。一所懸命だからこそ、失注は心の底から悔しいのでしょう。悔しい気持ちを隠さずにお客様に明かしてしまうことは、決して弱さを見せることではありません。お客様からは、誠実でひたむきな人である、という好印象を持ってもらえるに違いないのです。


P160
トップセールスウーマンたちのように、価値ある情報を提供するためには、どのようにしたらいいのでしょうか。私がお勧めしたい習慣を3点ご紹介しましょう。
@どんなささいなことでもお客様の気になっていること、関心のあること、口にしたことを対話の中で探ってみる(例:ハワイが好き)
Aそのネタを社内に持ち帰り、「自分が貢献できること」を探して情報収集する。その際、新聞や業界紙、ネット等から印象するよりも、知り合いから直接聞いた1次情報を使う
B些細なことでもよいので、情報は小まめにGIVEする
こうした地道な行動の積み重ねが、「価値ある」セールスウーマンへと成長させてくれるのです。

1億売るPoint Check
「価値ある情報」を積極的に集め、お客様にGIVEし続けましょう。


P174
人は誰でも「他人と関わっていたい」という親和欲求があるものです。仕事という枠を取り払って、一人の人間としてお客様と関わっていく。その気持ちがお客様に伝わって共感を呼び、長期的な人間関係づくりに結びついているのです。


P176
携帯電話会社勤務の女性営業Sさんもこう言っています。
「店頭で接客をしているとクレームが付き物です。でも、ご納得いただくまで素直に対応していると、不思議と良い形で終わるものです。その後、かなり高い確率で、『あのときはありがとう』と感謝までされるようになりました。追加で契約してくれるケースも多数あります。だから、私はお客様の怒りが収まり、笑顔になるまで決してあきらめません」
一度トラブルが起こっても関係を修復して、長い付き合いを続けられる。これは私が主張する女性の「母性」が働いているからだと思います。
「おせっかい」と「放置」のどちらがいいかと言えば、「おせっかい」のほうがはるかにいい結果を生んでいます。別れた後も関係を切らさずにお客様を大切に見守り続けると、いつの日か相手から近寄ってくる、と私は確信しています。

1億売るPoint Check
「別れ際」こそ慎重に。失注しても変わらぬ笑顔でお客様と接しましょう。


P180
繰り返しになりますが、お客様が営業に対しても最も期待しているサービスとは、有益な情報を提供することです。


P187
情報は一度に見せるのではなく、「小出し」にGIVEすることが、成約に結びつけるコツです。そのためには、お客様とマメにコンタクトをすることが、遠回りにようでいて、効果的なのです。


P190
「モチベーション=感情、だと信じているから辛いのです。モチベーションは行動することでコントロールできるんです。それが理解できてからは、クヨクヨ悩まなくなりました」
トップセールスウーマンは「結果」だけにこだわるのではなく、「自分自身の行動」の中身を高めることに集中しているのです。


P191
つまり、モチベーションが上がらないということは、要するに、考え過ぎて落ち込んでいるのです。結果の出ない自分自身を責め続け、憂鬱になっているのです。
1億売るくらいレベルの高い女性営業は、こういった心のメカニズムを熟知してます。だから、彼女たちは、結果ではなく「自分自身の行動」をどうするか、ということに関心をもっています。
「今日はどのkらい動こうかな」
「1件でもよいから、キャンペーンの案内を始めてみようかな」など、行動の内容に焦点を当てて、そのレベルを高めていくことにこだわっているのです。


P191
10年ほど前に「成果主義」を取り入れた営業チームが、最近、その失敗を認めて、「行動主義」にシフトしているケースを多く耳にします。
成果主義を導入した結果、営業マンが個人プレーに走りすぎたため、ノウハウを共有化することができず、チーム全体の営業業績が下がってしまった、というのが成果主義を修正した理由のようです。
(中略)
行動の量が適度にあり、かつ適切な行動を続けていれば、成果の上がらない営業担当者なんていないのです。


P193
「モチベーションが下がってしまって動けない、ではなく、行動しないから、モチベーションが上がらないんです。だから私は、毎日必ず3件は客先に通い、商談するペースを保っています。お客様のところに行けば、必ずネタも転がっていますし、世の中の微妙な動きを察知することで、次のチャンスもつかみやすくなるからです」

今月も未達成だった、1件も新規がとれなかった・・・・・・。そうやって落ち込んでいても、何も先には進みません。トップセールスウーマンたちは結果を出すために、「自分自身の行動」に集中し、小さなことでもいいから一歩前へと踏み出しているのです。

1億売るPoint Check
営業成績だけをきにするのではなく「行動の中身」にこだわって、ちいさなことでいいので一歩前へ踏み出しましょう。


P197
多くの人は、「感情」をコントロールできると信じています。ある企業の新人営業社員20名に対して次のような質問をしました。
「毎朝、会社から出発して新規飛込み営業へ出かけるときの私のテンションは低い。これは、自分がコントロールできるものか、できないものか?」
新人営業マンは20名が満場一致で答えました。
「気分の低さは自分自身に原因があるので、自分がコントロールできるもの、変えられるものです。私たちが自分自身のテンションを上げなくては営業でも成果を出せません!」

実はここが大きな落とし穴なのです。正解は、「コントロールできない」です。なぜならば、感情や気分は人間の本能とも言うべき生理現象であり、自然と湧き起るものだからです。
(中略)
「契約が取れず悔しい」「失注して悲しい」と思うのは当然の感情です。トップセールスウーマンは、この感情を受け止めたうえで、「自分がコントロールできるもの、変えられるもの」に集中すのです。つまり、行動や考え方を変えるのです。

一番よくないのは、「行動せずに、失敗する」こと。行動しないままではモチベーションが上がらないばかりか、成果も出ず、何も変わりません。


P200
結果を出すセールスウーマンは、待ちません。営業の突破口は現場に転がっているのです。自らやってみて、自らステップアップに励んでいます。未経験の仕事や実力以上と思える案件にぶつかっても、とりあえずやってみる。
(中略)
1億売るトップセールスウーマンも、すべての行動に学びと気づきがあるとわかっているから、行動することをやめないのです。情熱を持って、いま、この時間を大切にすることが、結果につながっているとわかっているから。

1億売るPoint Check
結果だけを気にしすぎてはいけません。「何か収穫はあるはず」と自分に暗示をかけて、とにかくやってみましょう。


1億売るPoint Check
早起き、スキマ時間、パワーランチ。夜は働かないと決め、昼間の限られた時間に集中してみましょう。


P220
経済の低成長が当たり前になり、既婚・未婚を問わず、女性が社会に出て働く機会は今後、ますます増えていくのは確実でしょう。これまでは男性中心だった営業の世界にも女性が続々と進出し、なかには1億円以上売り上げるほどのトップセールスウーマンが誕生しています。
でも、彼女たちは、決して特別な存在ではありません。先が見えない不安を笑顔で切り抜け、目の前のお客様に対して少しでも貢献できるよう、努力を重ねています。壁にぶつかることがあっても、「それも人生」と前向きにとらえて、何かを学びとっています。


「行動」に焦点を当てて、前向きに、歩んで行こう☆

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<参考リンク>
女性営業コンサルタント ベレフェクト社長
http://skybright.blog39.fc2.com/tb.php/592-3de1090e
『「1億売るオンナの8つの習慣」by太田彩子』にありがとさんきゅっ♪v(*'-^*)^☆、 - ありがとさんきゅっ♪v(*'-^*)^☆
『1億円売るオンナの8つの習慣』の参考文献リンク集 ほんからり  〜本からいろいろリンク〜
本の紹介:『1億売るオンナの8つの習慣』 - 「勇気の伝道師」 ヒューマン・ギルド 岩井俊憲の公式ブログ
1億売るオンナの8つの習慣: 中小企業診断士が情報起業に挑戦中? ビジネス・マネーの勉強ノート
太田彩子『1億売るオンナの8つの習慣』☆ - くじぽんの菜食日記〜自炊ときどき外食のこと〜
武田公認会計士事務所通信 : 1億売るオンナの8つの習慣/太田彩子

<To Be Freedom@読書三昧blog内関連記事>
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2012年03月23日

中学生からの哲学「超」入門―自分の意志を持つということ



素朴な哲学。
楽しいひとときでした。

中学生からの哲学「超」入門―自分の意志を持つということ (ちくまプリマー新書)



目次
1 自分とは何者か(神経症―私はなぜ哲学者になったか
欲望論哲学の出発点)
2 世界はどうなっているか(宗教のテーブルと哲学のテーブル
哲学のテーマ―「神」と「形而上学」について
宗教と哲学の弱点)
3 なぜルールがあるのか(大貧民ゲームで近代社会を体験する)
4 幸福とは何か(ガウェインの結婚―「自分の意志を持つこと」)

印象に残った部分を引用。

P52
思想の挫折の経験でも、失恋の経験でも、世界が壊れるということが起こった。このことが一つ。でももう一つもっと需要なのは、ひどい挫折が起こると世界が一度壊れるけれど、世界は必ずもう一度、立ち戻ってくるということです。


P54
われわれは欲望をもっている、それに応じてさまざまな対象が存在することになる。これが「欲望相関性」です。たとえば、「この世に食べ物があるので、食べたくなる」と人は考えるかも知れない。でもじつは、われわれ(生き物)にお腹が空くということが起こるので、この世に食べ物というものが”ある”のです。きれいなものをみてステキだという気持ちが動くので、この世に、美しい花や美しい景色がある。よいものを見て心が動くので、人間性とか芸術というものが存在するのです。
つまり、欲望がなければ世界の意味の秩序は形成されない。ただしまた、世界の秩序が形成されてはじめて、われわれは自分の欲望の何であるかを知るのです。これが誰でも自分の中から取り出せる「世界像」というものの基本構造です。これを「欲望相関性」という概念で呼びます。


P62
人間の「自我」はつねに底に存在の不安をもっている。動物はただ環境の中に生きて食欲や性欲を満たすだけですが、人間は自我の不安から、自分を取り囲んでいる世界の全体を知りたいという欲望をもつのです。
すでに、ネアンデルタール人(約二十万年前〜二万数千年前)が死んだ人を埋葬していました。死についての畏れをもっていたわけです。「死んだらどうなるのだろうか」という問いはそれほど古い。


P65
「宗教のテーブル」の重要な特徴を示すと、まず「教祖」がいて、皆が「この人は大事な真理を知っている」ということを信じている。また「教祖」が死んでも、「教祖の言葉」が残って、この言葉には「真理」が隠されていると信じて、人々が集まってくる。この人達が自分も「真理」に近づきたいと思い、それをみんなで求めあう。そういう集団が出来上がると、そこに、いわば「真理」を求めあう一種のゲームが成立する。
宗教に「ゲーム」という言葉を使うと、違和感を持つ人もいるかもしれない。けれど、そこには教祖の言葉の中に真理が隠されているはずだ、というひとつの仮説があり、みんなでその言葉を解釈しながら、誰がその真理にいちばん近づけるのかを競い合う、そういうゲームのような構造になっているからです。そしてまた、このゲーム自体が、そこに集まっている人たちの大事な生きる理由になっている、と言えます。


P87
ちなみに、先に言ったように、神は存在しないということが証明されたのではない。むしろ、この問題には決して答えられないということがはっきりしてきた。すると、哲学の領域では、絶対存在や至上存在といったことを、もう誰も前提として立てられなくなったということです。「神は死んだ」とは、まさしくそういう意味なのです。
ここには面白い現象があります。神は存在しないと誰も証明したわけではない。でも、哲学者たちは神について考えるのをやめてしまった。このことは逆に、哲学の本質的テーマが、神そのものではなく、あくまで人間や社会であることをよく示していると思います。
つまり、哲学が「神」の存在について長く考えてきたのは、「神」の問題が、人間における「価値」の問題、正しさ、真実、美しさ、誠実さ、といった問題を深く体現していたからです。神の存在の本質について考えることが、人間の価値の本質を考えることとほとんどイコールだったからです。
(中略)
別の言い方をすれば、哲学は「神」の問題を通さなくても、人間の問題を考えることができる新しい道を見出したということです、それが「社会」や「人間欲望」や「実存」という近代哲学の新しいテーマでした。そういう新しいテーマが見出されたことが、哲学において「神が死んだ」、ほんとうの意味なのです。


P118
もう少し言うと、「本質を見つける」とは、「絶対的な認識」をつかむということではなくて、みんなの中にうまく共通の了解を作り出してゆく、ということなのです。
もともと言葉というものは、何かを”言い当てる”道具ではなくて、個々人の経験を”共有”してゆくための道具です。でもふつうはこの理解がひっくりかえっているので、たいていはまず「真理」があるかのように考えてしまうのです。


P120
王侯が支配する社会と近代社会の大きな違いは何でしょうか。一般的には、近代社会とくに民主主義の社会では、人間は”生まれつき自由で平等”だからそこで自由が平等が認められているのだ、と言われます。しかし哲学的には、この理解は大事な点を見落としている。
われわれ一人一人が自由で平等だということを、誰が認めているのでしょうか。神様?それとも、政府?どちらでもない。また誰か特別な人がそれを認めているのではない。重要なのは、近代社会では、人々が他人の自由と平等を、お互いに認め合っている、ということ、つまり「自由」を相互に承認している、ということです。
これは社会をゲームだと考えるととてもよく分かります。いま何人かの人がみなでゲームをはじめようとします。するといくつかのことをはじめの前提として認めあう必要がある。みなの合意でルールを決めること、みなが平等にルールに従うこと、ルールに従わないとゲームが成立しないので、違反したときには罰を科すことがあること、等々です。
つまりルールのもとのプレーヤーの平等(対等)ということが前提で、これが守られなければ、ゲーム自体が成り立たない。だから各人がこの原則を守ろうという意志を持つ。そんなことをそれほど意識はしていないけれど、ゲームをするときには、そういう原則が必ず成立している。この原則を守らない人がいると、もうゲームは成り立たないのです。


P138
大事なのは、ルールゲームとしての社会の理念は、現実の社会のありのままを説明するためのモデルではないということです。現実の社会のありのままを説明するためのモデルではないということです。それは多くの人間の自由と価値観の違いを前提として、これならば誰もが認めるほかはないものとしての可能な社会のモデル、つまり社会の理念なのです。
そういう社会理念の哲学的な原則がうまく理解されないために、いろんな社会理論が、いろんな他の社会理論を批判しあって、結局誰もが希望を失っている、というのが現代社会の現状です。この意味でも、若い世代が、近代哲学の業績をしっかり考え直すべき時期に来ていると思います。


P139
他人の自由を尊重することは、道徳的な「よいこと」とはじつは少し違います。他人の自由の尊重は、自分が「自由」であるための基本の資格なのです。
たとえば少し前に、「なぜ人を殺してはいけないか」、という問いが話題になりました。これも社会のルールとして、と、道徳的な問題として、という二つの側面がある。
社会のルールとしては、人を殺したり傷つけることは、自分が自由である資格を自分から投げ捨ててしまうことです。われわれが「自由」なのは、そう生まれついているからではなくて、相手の自由の認め合い、相互承認の意志によって確保されている。これがこの問題の社会的側面です。


P141
いま「なぜ人を殺してはいけないか」は、二種類のルールにかかわっているという話をしました。一つは社会のルールで、もう一つは、そう、自分の中のルールです。この問題が複雑なのは、この二つのルールを区別することが難しいからです。
社会の善悪のルールは、法律とはまた別に、ふつう道徳とか、慣習(習俗)のルールと言われているものです。でも自分の中の善悪のルールは、これとはまた違うのです。自分のうちの内的なルールを、私は、「自己ルール」と呼びます。社会のルールと「自己ルール」の違いをうまく区別して理解することは、とても人間を聡明にします。


P156
じつは、友だちとのこういった「批評」しあう関係によってしか、人は、自分の「自己ルール」を理解することはできません。よく、「他人こそは自分を写す鏡だ」といいます。人間は他人を通してしか自分を理解することはできない、と。その通りdすが、その意味を、哲学的に言うとこんな具合になります。
われわれは誰でも、自分だけの善悪・美醜の「自己ルール」を、いわば感受性のメガネとしてかけている。そしてそれは長い時間をかけて形成されたものなので、誰もこのメガネを外すことはできない。もし青いメガネをかけていたら、すべてが青っぽく見える。メガネのレンズが少しゆがんでいたら、すべてが歪んで見える。でも、われわれがこのメガネを外せないなら、それがわれわれにとっては”正常な”世界です。
つまりふつうは、自分のメガネが歪んでいるのか、色がついているのか、誰にも決して分からない。このことに気がつくのは、他人がみているものと、自分が見ているものとの違い、偏りに気づくときだけです。これを「視線の偏差」とか「視差」と言います。
もしわれわれが、自分の好き嫌い、つまり趣味判断だけで生きていれば「自己ルール」の形がどうなっているのか、理解することはできない。「批評」しあうことではじめて、人は自分の「良し悪し・美醜」のルールが他人と違うことに気づき、またそれを交換することができるのです。
もちろん、他の人もみな自分の「自己ルール」を自分のメガネとしてかけている。だから、例えば相手の感受性や美意識が「正しい」とはかぎらない。厳密に言うと、すべての人が自分なりの「メガネ」をかけているので、絶対に正しい「メガネ」というものはないのです。
しかし、われわれは相互の批評を通して、さまざまな人の「自己ルール」と自分の「自己ルール」との偏差を少しずつ理解し、そのことではじめて自分の「自己ルール」の大きな偏向性や問題性を了解することができるわけです。


P159
ヘーゲルによると、人間の欲望は自己価値欲望です。自己価値は、結局のところ、他者による承認を必要とする。それは評価、賞賛、尊敬、配慮、そして愛情などの形をとるが、ちょうど動物の身体が「栄養」なしに生きられないように、また人間の心が、ロマンや情緒を必要とするように、人間の精神は「承認」を必要とするのです。
これは人間の生に必須のもので、例外はありません。人間は本来「孤独」な存在であり、それが人間の本質である、と強く主張する人にとってさえ、この考えを誰かから承認されたいという動機なしには、この主張自体は意味をもちません。


P173
ときどき、ちょっと新しい資料を調べて、じつは今までの歴史説はまったくのウソでホントはかくかくしかじかだ、という新説を持ち回るものがあるけれど、私はまず信用しません。歴史は「物語」なので新しい「物語」をいくらでも書けるからです。だいぶ時間がたって、とりあえず平均的な通説となったものを基準として考えるのが、とても大事な態度です。
「歴史とは何か」は、哲学的には面白い問いです。私の考えでは、これは「自己とは何か」というのと似ている。
ともあれ、歴史はふつうに考えると過去の事実の集積です。しかし過去の事実のすべてを知ることは誰もできない。だから、その中で、重要と思えることだけをピックアップして取り出し、それを数珠のようにつなげてストーリーにしている。これが普通われわれが”読む”歴史です。そして日本というのはこんな道を歩いてきたんだ、とか、ヨーロッパはこんな具合に進んできたんだ、と理解する。
これはちょうどわれわれが、自分の”来し方”を想いみるのと似ています。われわれも過去の事実のすべてを記憶しているわけではない。そのうちのある結び目だけを取り戻してストーリー(物語)の形にし、自分はこんな風にここまでやってきたんだ、と考える。そして、この「自分についての物語=歴史」が、われわれの「自己理解」のいちばん中心部分です。


P175
何か社会的な仕事をめがけている人は、歴史をよく読んで、人間社会の進み行きについての自分なりの像をもつことがとても重要です。
だから、これこそほんとうの史実だという考えは注意したほうがいい。歴史とはいつでも、暫定的な、共同的に信じられる物語だということを自覚するセンスが大事なのです。


P192
人間は社会の中で生きるが、ここで人間の欲望とは、「自分が欲しいものを欲しい」であるより、むしろ「他人が欲しいものを欲しい」である。たとえば、金や名声や権力は、「誰もがそれを欲しているという理由で、誰もがそれを欲しくなるもの」なのです。だから、この社会で生きるかぎり、われわれは誰も自然に、「一般欲望」(他者の欲するものを欲望する)を育て上げることになります。
しかし、大事なのはつぎのことです。われわれがこの自分の欲望をどこかでうまく理解しなおすことができないと、なかなかやっかいなことになる。というのは、資本主義社会は必然的にそういう一般欲望を育てるのだけれど、この欲望はあくまで競争の中で生じるものなので、この一般欲望を満たすことができる人は二割ぐらいの人間だということです。七、八割の人は、自然にそういう欲望を育て、そして失敗するようになっている。ギャンブルと同じです。
だが、ほとんどの人びとが、この、たくさん愛されたい、贅沢をしたい、評価されたい、人の上にたちたい、偉くなりたい、といった「一般欲望」を、人間がめざすべきごく自然な目標として自分の中に育てる。だから、もしわれわれがどこかで自分の欲望のあり方を検証しなおす機会がないと、幸福になるどころか、世の中のほとんどの人が不幸になってしまうということになります。


P201
「欲望」は、われわれの主人であり、育ての親です。われわれはそれへの執着を生きる理由にしている。しかしもしこの執着がわれわれの生をスポイルすることを理解できれば、必要なときには、これを編み変えなければいけないし、またそうできるのです。
「自己ルール」を再確認し、自分の中の「一般欲望」を再吟味する。これは現代社会において、若者がもっている生きる上での最大の課題です。そして、そのことによって、はじめてわれわれは、「自分の生への意志をもつこと」が可能になる。


P205
「一般欲望」は、すべての人をその目標に誘い生の憧れに誘うような、実存の”一般的”可能性です。しかしその運命は、きびしい競争の論理のうちにある。君がその目標を実現できるかどうかは、一定の確率をもったルーレットの中に投げ入れられたダイスの目のようなものです。
私のアドバイスは、君はそういう欲望を捨てるべきだというのではない、そうではなくて、もしそれしか生の欲望をもてないなら、君の生は拠り所のないものになってしまう。むしろ、君はそのような「一般欲望」とはべつに、自分はこのように生きよう、このような生き方をしたいという、自分固有の生の目標(欲望)を見出すべきだ、ということです。


P207
君がもし、自分のルールや自分の欲望について考えなおしたことがなければ、君はまだ自分について深く理解したことがないし、自分の生きる意志をいちども持ったことがないのです。「自己ルール」や自己の「欲望」は、われわれが何であるかの「本質」それ自体です。しかし、にもかかわらず、われわれは、むしろ「自己ルール」や自分の欲望のありかたに抗って、自分の「本質」をつねに刷新してゆくような存在なのです。

「自分の意志をもつこと」こそは、現代社会に生きるわれわれにとって、最も大事なテーマではないでしょうか。

大好きなサイト、世界史講義録http://www.geocities.jp/timeway/ が紹介されていました。
ホントに良いサイトで、このサイトのおかげで、世界が広がったし、世界に対する興味も広がりました。
このサイトをきっかけに読んだ本もたくさんありますね。
是非、アクセスしてみて下さい。(※Google Chromeからは、なぜか文字化けするので、他のブラウザでどうぞ)
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<参考リンク>
世界史講義録http://www.geocities.jp/timeway/
『中学生からの哲学「超」入門』竹田 青嗣 - 自分が読んだ本の記録
教師ラウンジへようこそ!:中学生からの哲学「超」入門
『中学生からの哲学「超」入門』 読書メモ: 左衛門のブログ
日能研東海の入試報告会資料ーその2 魔法の国語/ウェブリブログ
中学生と一緒にお勉強 - 元ネトゲ中毒者Mの日記
2012-01-29 - nuit et jour
404 Blog Not Found:哲学は哲学者より簡単 - 書評 - 中学生からの哲学「超」入門

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2012年03月16日

アンガー・マネジメント―アメリカ・エグゼクティブの間で爆発的に普及!イライラ、ムカムカを一瞬で変える技術



だいぶ自分の感情をコントロールできるようになったつもりでいたけど、これを読んで、まだまだだなぁと思いました。
「怒り」っていうのは、ホントに難しくて、なかなかコントロールできるものではないけれど、コントロールできなければ周囲からの評価を下げることはもちろん、自分自身の自己評価も下げてしまう。
逆に言えば、怒りの感情をコントロールできさえすれば、他の衝動的な感情のコントロールにも応用が利くし、人生を豊かにするきっかけともなると思う。

この本の中では、テクニックや段階を追ったトレーニングが書かれています。
感情のコントロールの出来具合が、どのレベルであっても活用できる本だと思います。
ただ、ある程度のレベルに達している人にとっては、「当たり前のことだな」と思われることも、くどいくらいに注意書きがされています。早急なアンガー・マネジメントが必要な人には、必要不可欠な注意書きだと思うので、人にアドバイスする際の参考に必ずなると思います。また、「当たり前」と思っていることができないのが、人間です。読み返した時に、意外とハッとさせられるのが、このくどいほどの注意書きのようにも思います。

アンガー・マネジメント―アメリカ・エグゼクティブの間で爆発的に普及!イライラ、ムカムカを一瞬で変える技術



目次
はじめに アンガー・マネジメントがあなたの世界を劇的に変える!
序章 できるビジネスマンほどイライラ、ムカムカにふりまわされない
第1章 人間関係を劇的に変える!アンガー・マネジメントのしくみ
第2章 「なりたい自分」のイメージトレーニングから始めよう
第3章 「カチン!」「ムカッ!」ときたときの、感情の抑え方
第4章 記録することで、あなたの怒りを「見える化」しよう
第5章 無理せずできる!「怒らないしくみ」のつくり方
第6章 本心が伝わるコミュニケーション・スキルを身につけよう

印象に残った部分を引用。

P24
あなたを怒らせているものの本当の正体、答えをいってしまうと、その正体はあなた自身です。あなたの選択があなたを怒らせているのです。
どんな出来事も、誰かの存在も、誰かの言動も、実はあなたを怒らせることはできないのです。


P29
「意見や立場の違いを受け入れられないこと」こそが怒りの正体なのです。
ですが、怒りそのものは悪いことではありません。
問題は「怒りのままに行動してしまうこと」なのです。
(中略)
信頼を失うことで、評価を下げたり、人間関係を壊したり、と結局は、怒りをぶつけた人自身のところに、怒りの結果は返ってくるのです。
怒りのままに行動に移すことは、実に多くのものを失うことと同じこと。
そのことを強く肝に銘じてください。


P39
怒りを感じたときにこそ、その「目的」を思い出してください。そうすることで、「怒り」をマネジメントすることに意味が生まれるのです。
(中略)
「怒り」はなくせません。
プラスに活かすもマイナスに活かすもあなたしだいです。


P64
そうすると、市川さんは、「注意をされたり、違う意見を出されたときに、自分を否定されたと感じる」というコアビリーフがあると気づきました。
つまり「注意をする」という行動で、ある日とは、「なるほど。親切な人だな」を思う人もいれば、市川さんのように「俺のことが嫌いなんだな」と思ったりする人もいるのです。


P70
「『なぜ自分は怒るのか?』の原因を徹底して追求するよりも、『自分は怒りをコントロールしてどのようになりたいのか?』を思い描いていこう」
(中略)
怒りの原因を追究することは、過去にさかのぼって、過去の怒りの感情をも思い出していくことです。
その際、かつてのその怒りの感情を思い出し、怒りを強めたり、新たな怒りを付け加えてしまうことがあります。
(中略)
このような「思い出し怒り」を何度も繰り返していくと、軽い怒りもいずれは憎悪や怨念といった、とても強い怒りになってしまうことすらあります。
だから、怒りのコントロールが上手にできないうちは、あまり怒りの原因を追究しないほうがいいのです。
そうではなく、先ほどの例なら、「どうすれば上司と上手に関係をつくっていくことができるのだろう」と考えたほうが、積極的に問題を解決できるようになります。


P74
具体的に、怒りをコントロールして「なりたい自分」をイメージトレーニングするのです。
ただここで気をつけてほしいのは、途方もない状態を「なりたい自分」と考えないことです。
(中略)
なりたい状態になれないからといって、自分を責めたり、まわりの人にあたったり、社会を恨んだとしても自分が苦しくなるだけです。
現実には思いどおりにならないことはいくらでもあります。それを受け入れた上で、自分は何ができるのかを考えるということが大事です。
何度も書いていますが、怒りという感情は、あなたの選択です。ある出来事、誰かの存在、誰かの言動に対して怒るも怒らないもあなたしだいです。
アンガー・マネジメントを実践していくということは、自分の感情は、何かの出来事、誰かの存在、誰かの言動のせいではなく、自分自身の責任であるということを自覚していくことでもあります。


P77
あなたが、怒りをマネジメントし、周囲とうまくコミュニケーションがとれるようになったとして−−−−−。
Q1 誰が最初にあなたの変化に気づくでしょうか。
Q2 その人はあなたのどのようなことに気づくでしょうか。
Q3 そして、その人は何をあなたに言ってくるでしょうか。
Q5 他には誰があなたの変化に気づくでしょうか。
Q6 その人たちはどのようなことに気づくでしょうか。
Q7 なぜその人たちはあなたの変化に気でくのでしょうか。
Q8 変化に気づいたら、あなたに向かってなんと声をかけてくるでしょうか。
Q9 あなた自身は自分のどのような変化に気づくでしょうか。
Q10 感情面ではどのように変化しているでしょうか。どのような感情をもっているのでしょうか。
Q11 行動面ではどのように変化しているでしょうか。それは今日とは違った行動のはずです。いったいどのような行動なのでしょうか。
Q12 あなたにとっての理想の日を10段階の10とすると、今日は何段階にいるでしょうか。
Q13 どうしてそのように思うのでしょうか。
Q14 最近、自分の理想の日に最も近い日があったとしたら、10段階のうちのどれくらいだったでしょうか。
Q15 その日は何をしていた日でしょうか。
Q16 誰と一緒にいましたか。
Q17 その人はあなたのことをどう思っていたでしょうか。

このように、理想とする日知日にあった出来事を詳しくイメージするのです。
当たり前のことですが、「理想の日」とこれを書いている「今日」との間にはギャップがあります。あまり現実とかけ離れたことを創造するのではなく、あくまでも、実現しうる理想の一日を思い描くようにしてください。


P84
自分が変われば、まわりも変わる
まず、24時間アクトカームをする際のポイントは、
「怒ろうが、イライラしようが、ムカつこうが一切感情は関係ない。どんな感情をもったとしても、表面的には徹底して穏やかにふるまう」
ということです。
たとえカチンとくることがあっても、「今は24時間アクトカーム中だから、とにかく穏やかな自分を演じるんだ」と強く思い、ぐっとこらえてください。
24時間アクトカームを行い、徹底して穏やかにふるまうことで、自分にどのような変化があるのか、周囲の人にどうのような変化があるのか、周囲の人が自分を見る目にどのような変化があるのかということを知ることができます。
イライラしがちな人は、いかに自分を変えずに周囲の人を変えるかということに考えがいきがちです。
ですが、自分を変えずに他人を変えることは難しいもの。
だから、ほんの少し自分の行動を変えるだけで、驚くほどまわりの人の反応が変わることを実感することはとても大切なことなのです。
さらに、24時間アクトカームを実践する際は、まわりの人たちに、
「私は、今から24時間ずっと怒らないでいるようにします」
というように宣言してください。
これにより、より真剣に24時間アクトカームに取り組むことができます。
また、自分が穏やかでない行動をした場合にまわりの人たちからチェックをしてもらうことができます。
24時間アクトカームはできるなら、日を開けて何度もやってください。
また必ずしも24時間でなくても、就業時間中の8時間などでもかまいません。
要は、一定の期間怒らないことによって、「怒らないで仕事をした際のまわりの反応」を体験できればいいのです。
この24時間アクトカームを何度もやっていくうちに、「怒らないあなた」に対するまわりの反応はよいものに変わっていくことでしょう。
あなたが怒らないと、あなたが思っている以上に多くのメリットを実感することができるはずです。


P90
人は一瞬にしては怒りません。
怒りの感情が生まれるまでには、人はいくつかの段階をふむのです。だから、私たちはその段階の途中で、衝動をコントロールできるチャンスがあるのです。
(中略)
「衝動的に言い返した場合の段階」
段階1 誰かがあなたに対して何かを言いました

段階2 あなたはそれが何を意味しているのかを考えました

段階3 考えた結果、自分をバカにしている、侮辱していると受け取った結果、怒りの感情が生まれました

段階4 怒りの感情にコントロールされ、怒りを晴らすために相手に対して言い返したのでした


P108
タイムアウトをとるときは、まず相手にタイムアウトをとることを伝えます。そしてある時間後に戻ってくることを約束し、戻ってきたあとに議論の続きをするという約束をします。
例えば、板垣さんであれば、このような感じで本部スタッフにタイムアウトを伝えます。
「申し訳ないですけど、これ以上は冷静に議論できそうにありません。タイムアウトをとらせてもらえないでしょうか。タイムアウトの時間は1時間で結構です。1時間後にまた議論を再開させてもらえればありがたいです」
そして、タイムアウトをとっている間は、リラックスできるような気分転換をしてください。散歩に出たり、お茶を飲んだり、ストレッチをしたり・・・・・・。
なんでもかまいません。自分がリラックスできることをするのです。
逆にタイムアウト中にしてはいけないこともあります。
先ほどの議論を思い出すことです。
先ほどの怒りの感情を思い出すことになってしまっては、タイムアウトをとった意味がありません。
さらに飲酒は御法度です。飲酒はリラックスするどころか、怒りという火に油を注ぐことになります。


P115
「怒りのレベル」
Level 0 怒りの感情なし。とくに対処方法はなし。
Level 1〜3 軽いイライラ、不愉快、不快感。その中でも弱がレベル1で、中程度がレベル2、強がレベル3。ストップシンキング、グラウンディング、コーピングマントラなどの衝動コントロールを少し行えば、わりとラクにコントロールできる。
Level 4〜6 頭に血がのぼる、ムカつく、少し強い怒り。その中でも弱が4段階で、中程度がレベル5、強がレベル6。衝動コントロールのテクニックをいくつか組み合わせればコントロールできる。
Level 7〜9 とても強い怒り、憤り、コントロールできる限界。その中でも弱がレベル7で、中程度がレベル8、強がレベル9。すべての衝動コントロールテクニックを試してみる。それでも効果がなければタイムアウトを使う。またこの段階まで怒りがこないように認識の修正、長期的な行動パターンの修正をもっとトレーニングする。
Level 10 もう自分ではコントロールできない怒り。専門家の助けを求める。


P121
「アンガーログ」
日時:
出来事:
思ったこと:
感情:
感情の強さ:   /10段階
行動:
結果:
異なる考え方:


P128
アンガーログをする際のポイントがいくつかあります。
まず、本書を手にとり、アンガー・マネジメントをしよう!と思った瞬間から、アンガーログを始めてください。
また、アンガーログは、できればムカッときたり、イライラして仕事が滞ったり、誰かを怒ってしまったときに、なるべく一つひとつ記録してください。
できることなら、怒りを感じたときにすぐ書くことがコツです。
手帳なりメモ帳なりを持ち歩いていて、怒ったときにすぐアンガーログをするようにするのです。
アンガーログをする用紙はなんでもかまいません。
それとログをする際にとても大切なこと。
それは、記録している最中に、「なぜ自分はそのように考え、怒ってしまったのか」「なぜ自分はそのような行動をしてしまったのか」ということをあまり深く強く考えないようにすることです。
できるだけ主観や思いを入れないようにアンガーログをするのです。
自分の怒りを、自分の怒りではないかのように冷静に振り返って忠実に記録することを心がけてください。
(中略)
そして、もう一つ大切な役割があります。
それは、怒っているときに、『記録しなければ』いう怒り以外のことに目を向け、怒りを抑えるという意味合いもあるのです。


P135
ストレスは、大きく4つに分けることができます。それは、
1.「重要」かつ「自分で変えられる」 自分の責任で自分で変えていくことを選びます。自分で責任をもって変えていくことで、そのストレスから解放されます。
2.「重要」かつ「自分で変えられない」 そういうものがあるものとして受け入れましょう。世の中には自分ではどうにもならないことはあります。なんでも自分の思う通りにいくわけではありません。この現実を受け入れましょう。
3.「重要でない」かつ「自分で変えられる」 優先順位は高くありませんが、変えられるのであれば、自分の責任で変えていくことを選びましょう。
4.「重要でない」かつ「自分で変えられない」 考えていてもしかたがありません。あなたの人生には関係がないのですから、考えることをやめてしまいましょう。


P138
「あきらめる」だと、自分で変えられないどうにもならないことにも、常に不満が残ってしまうことになります。そうではなく、変えられないことを受け入れた上で、変えられることは何かを小さなことでいいから探すのです。


P192
あなたが本当のところ、何をどのように考え、感じているのかはまわりの人にはわかりません。
だから、まわりの人があなたのことを知るのは、あなたがどのようにコミュニケーションをとるかしだいなのです。
つまりあなたがどんなに一生懸命4、5章で行った「認識の修正」をして怒りを生み出さないよう努力をしても、ちょっとした怒りにまかせてよけいなことや不用意なことを一言でも言ってしまえば、あなたの努力は一瞬のうちにふいになってしまいます。
一方で、あなたがまだ怒りを上手にコントロールできないとしても、よけいなこと、不用意なことを言わなければ、とりあえずは人間関係にヒビを入れたり、壊したりするようなことはなくなるでしょう。


P199
「絶対」「いつも」「必ず」という言葉を使いたくなったら、他に正確な表現ができないか、置き換える言葉や表現を探してみましょう。


P201
決めつけやレッテルをはるのではなく、相手のことをもっとよく理解するよう気をつけてください。
信頼関係は、そのような土台のもとに成り立っているのです。


P203
”べき”もたくさん使うと人間関係を壊しやすい言葉となります。
私たちが”べき”を使うとき、それはどういう意味で使っているのでしょうか。
あなたが”べき”を使うときそれは自分が言っていることが正しい、自分の言うとおりにしたほうがよいということを意味しています。
(中略)
”べき”という言葉で、あなたの価値観や考え方を押しつけないようにしましょう。


P206
誰かに責めの言葉をぶつければ、そこに待っているのは、人間関係へのヒビです。あなたが責めれば責めるほど相手はあなたからどんどん遠ざかっていきます。
怒りのままに相手を責める言葉を使わないようにしてください。


P213
怒りをぶつけないコミュニケーションのコツは、怒りにまかせてよけいなことを言わないことです。


P215
自分の意見をはっきり伝えること、自分の主張を通すこと、相手の立場を思いやることはなんら問題なく両立できることです。
ムカッときても、それを怒りのままにぶつけるのではなく、ムカッときた状況を説明し、相手にわかってもらえるよう丁寧に伝えればいいのです。
相手の「忙しいから仕事をお願いしたい気持ち」を尊重して受け取るのと同時に、「自分だって忙しいから、引き受けられない」という気持ちを尊重してもらえるよう正確に素直に伝えるのです。
これがアサーティブコミュニケーションです。


P221
私は、アンガー・マネジメントを、よく自転車に乗ることに例えます。
自転車は練習すれば誰でも乗れるようになりますが、はじめから上手に乗れる人はいません。ですが一度乗れるようになると、意識しなくても乗れるようになります。「怒り」という感情のマネジメントも同じです。
今まで述べてきたことを実践していただければ、必ず、イライラ、ムカムカしない自分に変わることができます。
怒りにコントロールされることはなくなります。

以前、コモンセンスペアレンティング・トレーナー研修の際に、先生がおっしゃっていました。
「本当の自立支援とは、感情をうまくコントロールして、人とのコミュニケーションがうまくできるようにすること」
できないことは、人に頼れば良い。例えば、料理や掃除ができなくても、できる人に頼んだり、買ってくれば良い。
でも、仕事をしたり、家庭を築いたりするためには、感情のままに行動していては、まずうまくいかない。
まして、できないことをサポートしてもらうにも、感情のままに人と接することはやってはいけないことです。

感情、特に怒りの感情をコントロールすることは、人間が社会的な動物となって以来のテーマだと思います。
社会が複雑化すればするほど、互いに求めることをすり合わせていかなければなりません。それがコミュニケーションです。
今、最も求められているのは、「コミュニケーション能力」と言われますが、それ以上に、「感情のコントロール」がまず重要だと思います。
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2012年03月12日

わが子を天才に育てる家




あまり期待せずに読んだのですが、とても良かったのでご紹介。

建築を通じて、子育てのあり方、さらには生き方をも考えさせられます。
建築に留まらず、心理学や脳科学、果ては風水を「統計学」と捉える内容で、ページ数の割に幅広い知識と、著者の人間性が込められているように思いました。

家を通じて、人生の深さ、幸せを温かく考えることができるので、繰り返し読むにも適した本だと思います。

わが子を天才に育てる家



目次
【はじめに】
【プロローグ】 「勉強部屋なんていらない!」本当の理由
子供にとって勉強部屋って必要?
子供が社会に出るときに大切な才能の資質とは?
今の住環境は日本人に合わず歪が生じている
成績がぐんぐん伸びる勉強場所とは?

【第1部】個室は子供にこんな影響を及ぼす
もともと日本には子供部屋という概念がなかった
部屋を欲しがる子供の本音とは?
一人きりの勉強部屋が子供に及ぼす影響とは・・・など

【第2部】わが子の才能を育むために知っておきたい家造り13のポイント
子供特有の家の機能を知って活用しよう
子供目線での子供部屋の機能を理解しよう
家の規模別による子供部屋の広さや機能を押さえよう・・・など

【第3部】家族が幸せになる!子供がクリエイティブに育つための住まいのQ&A
完全な個室にしたほうがいいでしょうか?
子供にとって危なくない家にするにはどうすればいいでしょうか?
天才を育てるには天井が高いほうがいいのですか?
家造りを考える際、子供の意見はどこまで取り入れるべきでしょうか?
子供がクリエイティブに育つ間取りというのはあるのでしょうか?・・・など


印象に残った部分を引用。

P7
本書のタイトルには「天才に育てる」とありますが、「天才」と聞くと特別の人にしか持ち得ない才能のように聞こえるかもしれません。しかし私は「その子本来の才能に気づき、ワクワクしながらそれに取り組んでいる状態」がまさにその天賦の才にあたると考えています。


P21
履歴書には、どこの学校を出たのかを記入させず、高卒、大卒、院卒しか見ない企業も多いと聞きます。もちろん、学歴を重視しているところもあるでしょう。しかし面接を課さない入社試験はありません。
最終的に採用決定に関して共通しているのは、面接時に自分の言葉でコミュニケーションできているかです。これは興味深いところです。「面接官はほとんどのマニュアル本を読んでいるから、答え方を聞くだけで、あの本のどこに載っている言い回しだとわかってしまう。逆にこの子は大丈夫だと思わせる子は、自分のやってきたことに自信を持っていたり、自分の好きなことが何かを知っていて、まわりにも応援されてきたことが伝わってくるよ」といっています。
このように考えると、住環境が、幼少のときから自分の才能に気づき、まわりの人間もそれを信頼して応援してあげ、自信を持って人にアピールできる人間性を育める場所かどうかというのが、子供の将来性を伸ばす鍵になりそうです。


P25
子供の能力を伸ばすという視点で見ていくと、学校の成績が伸びている子供が家のどこで勉強しているかは興味深い要素の一つでしょう。
ところで、どこだと思いますか。
以前セミナーでこの話をしたら「自分の部屋」「リビング」「塾(自分の家じゃないですよ!)」などといった答えが出てきましたが、正解はダイニングです。食事をするテーブルで勉強しているのです。
(中略)
そこには心理的背景が明確にあります。「子供にとっての母親の存在」が深くかかわっているからです。心理学的にも、子供は母親のそばだと安心して未知のことにチャレンジするといわれています。「私が目を離している隙に何をするか心配で子供から目を離せない」といわれるお母さんもいますが、逆に母親の目から離れている場所では、子供は不安になり、一般的には既知のことしかできないようです。これは建築士としてもとても興味深いことです。
(中略)
このように、ダイニングだからいいというのは表面的な答えであって、住環境のことを考えるうえでは、心理学的要素も重要だと私自身実感しました。その側面で見ると、「子供にとって親の存在を感じながら安心してチャレンジできる場所が家の中のどこか」ということがポイントになるのです。勉強部屋がどうしてうまく機能しないのか、そして子供のやる気を挫き、親子の関係にまで影響を及ぼしてきた背景が見えてくることでしょう。


P46
子供の発達に合わせていうと、個人差はありますが、生まれてから三歳くらいまでは、精神的に母親と一体化しています。その後、自分は母親とは別の人格で、別の存在ということを意識しはじめます。そのときに自分の領域がほしくなってきます。ただ、小学生くらいまでは「いきなり個室がほしい!」というわけではなく、リビングの片隅に自分のコーナーがあるだけでも十分満足します。
それが第二次反抗期を迎えるようになると、より明確な自分の領域としての個室がほしくなるのです。それが子供の本音です。


P50
居室化した子供部屋が、もう一つ大きな影響を与えているものがあります。それは、親子のコミュニケーションです。例えば、子供が学校から帰ってきてもすぐに部屋に入ってしまうので、仮に学校で何かあったとしても、それを察知するのがむずかしくなります。
それに対してアメリカの場合は、思春期には若干違いますが、基本的に寝るとき以外はあまり部屋には入らず、家族と会話することを楽しみにしています。そんな子供が学校から帰ってきたときに部屋にこもれば、一目瞭然で「何かあったのね」と気づくでしょう。この場合は、ドアをノックして「どうしたの、部屋に入ってもいい?」と話しかけ、親子でコミュニケーションをとる習慣や文化がアメリカにはあります。ハリウッド映画などでもそういった風景をご覧になった人もいるでしょう。


P62
私の大好きな登山家で世界の多くの山を制覇したラインホルト・メスナー氏が次のようにいっています。「私はこれまでたくさんの山を克服してきたが、世の中で一番大変な事業は子育てだ」。あらためてこの言葉の意味を深く理解できたように思います。
一人で子育てをしている現状は、それくらい大変なことだといえるでしょう。シングルで子育てをしている方の場合もそうでしょう。
だから、子育てをしているのが自分の場合は、それくらい大変なことをしているのですから、まず自分にも優しくなってみましょう。そしてパートナーの方は、それうらい未曽有のことをやっているのだと理解するところからはじめましょう。そしてできれば感謝の言葉を心からいってみましょう。それだけでも、子育てをしている方は癒されます。私もこれを書きながら妻に感謝の気持ちを伝えなきゃと反省しきりです。


P88
「最終的には夫婦だけで住む夫婦のための場所になる」
六〇歳以上の方からは、「子供たちが巣立って、家の中があまってしまいました。特に二階にある子供部屋は今、納戸になっています。でも足腰も痛いからなかなか掃除にも上がれない。どうしたらよいでしょうか?」という相談を受けることが多くあります。


P100
そして今、子供にどんな部屋を与えたい、与えたくないと考えていますか?


P118
家の使い方のルールを決めよう
・子供部屋に鍵をつけるかつけないか
・つけるとしたら何歳から鍵を渡すか
・鍵をつけないとしたら部屋の家具を親は絶対に明けないなどルールを決める
・そのために洋服ダンスなどは、子供自身で整理整頓することを一緒にルールにする
・部屋は自分で掃除する、一週間部屋の掃除をしなかったら部屋は没収
・家に帰ってきたら部屋にこもらずリビングに来る
・部屋で勉強したいときは、どうして部屋でやりたいのかを話し合い、期間を決める
など、子供部屋の使い方を決めていくことも大切でしょう。
「でも、ルールを決めても本当に子供はいうことを聞くのかしら?」
「縛りをつくるほど窮屈になるのでは?」
と思う方もいると思いますが、ここでポイントがあります。
これは実際に親子関係の専門家から聞いた話ですが、これらのルールは親が決めるのではなく、子供に決めさせるとほとんどの場合、子供はルールを守るそうです。朗報だと思いませんか。


P125
朝、起きがけの子供をギュッとハグして、「お母さんはあなたのことが大好きよ」というだけで、子供は、この家が安全でリラックスできる場だと実感するでしょう。


P130
いつから一人で寝かせるかは、「子供に聞いてみる」のが一番です。ただし、一つだけ注意が必要です。一度一人で寝はじめたからといって、ずっとそれが続くとはかぎらないということです。たまに寂しくなって親と一緒に寝たくなることもあるものです。しかし、そのときに「あなた、一人で寝るって決めたじゃないの!」といってしまうのはよくありません。
一人で寝るという行為は、子供にとっても、大きなチャレンジで、不安もたくさん感じるものです。そのときに「いいわよ、じゃ今日は一緒に寝ましょう」といってあげると子供は「いつでも一緒に寝られる」という安心感が芽生えます。
家庭内で子供の成長を後押しするのは、この「安心感」です。安心感があると子供は自立しやすくなります。また一緒に寝る日が続くのでは、と心配になることもあるでしょうが、大きな愛情の中で安心感が芽生えると、子供は自発的に自分の領域がほしくなるタイミングで、一人で寝たくなるでしょう。あせらず、子供のタイミングを見てあげられるかどうかが重要です。


P150
実は、照明の色によって、脳の働きも変わってきます。より青白い光のもとでは、冷静になって左脳的な論理的思考が活性化しやすくなり、温かい色の光のもとでは、右脳的な感覚、感性の部分が活性化しやすくなります。そこを使い分けることがポイントです。
例えば、勉強する場所は青白い光にし、家族団欒でゆっくりしたい場所は暖かい色の光にするなど工夫するとよいでしょう。


P158
間取りのことに先がけて「どうすれば、子供は自分たちと一緒にいるのが楽しいと思うのだろうか?」と考えることが重要です。
というのも、もともと子供は家族と一緒にいるのが大好きだったからです。第二次反抗期に入ると、部屋に入る時間も増える可能性はありますが、それでも家族と一緒にいる時間を楽しく過ごしてきた子供は、親に悩みを話したりして、家族と一緒にいる時間も大切にします。家族心理カウンセラーの妻とそのあたりの話をしていて気づいたことがあります。それは子供が部屋に引きこもるには大きき二つのタイプがあるということです。
一つは、小さいときに両親と一緒に過ごす時間が少なすぎたり、たっぷり愛情を注いでもらえなかったタイプ。もう一つは、過干渉で育てられたタイプです。前者は、一緒にいても、自分を理解してもらえないという絶望感がいっぱいで、後者はかかわられすぎて「ウザイ!」と束縛感を感じています。もし、わが子が引きこもりがちな場合は、自分の子供がどちらのタイプかを知って、それに対応していくことが重要でしょう。


ある女性がやはり包丁を持っているときに四歳になる女の子が「ねぇ、ねぇ」とやってきたそうです。そのときに「あ、来たわ」と思いながら、包丁をキッチンの危なくないところに置いて、体全身で子供のほうに振り返り「どうしたの?」と話しかけました。
すると、その子供は、笑顔で夢中になって話しかけてきたのですが、一分くらいすると、またリビングのほうに走っていったそうです。もし、このとき、まな板で材料を切りながら、横顔で「なぁに?」といっていたら、またいつものように子供がぐずりだしていたと思うと、その女性がいっていました。
このように考えると、子供の優先順位は、親がどれだけ自分のことを見てくれているのかということだとわかります。
これが如実に表れる場所が、家の中ではキッチンの形状です。例えばダイニングに背を向けたキッチンや、部屋が独立したキッチンでは、これらのことを習慣化させるには、常に体をひねって対応するなどの意識が必要になります。それに対して対面式のキッチンは、テレビを見ながら料理ができるというだけでなく、子供が「ねぇ、見て見て!」と話しかけてきたときにも即座に対応しやすい形になっています。
しかし、せっかくの対面キッチンでも、横顔で「なぁに?」とやっていたら台無しですので、先ほどの例イメージしてトライしてみましょう。


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<参考リンク>
東京、広島を拠点にする建築家、建築設計事務所、一級建築士事務所 KEIZO ARCHITECT OFFICE
http://happyseez.blog37.fc2.com/tb.php/178-cd152db8

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2012年03月09日

まっすぐな線が引ければ字はうまくなる



毎年書初めはしているものの、字は自慢できるくらい下手です。。。
だから毎日少しずつ少しずつ練習しているものの、まだまだですね。
その参考に読んでみました。

きれいな字を書くための理屈的なことは、すごく納得できて、練習方法を少し実践してみたところ、何となく自分の字が変わってきたなと思えました。
ただ、この本の欠点としては、お手本の字は確かにとても綺麗なんだけど、何となく憧れを感じにくい字だなぁというところです。
もちろん、字にも人それぞれ好みがあるので、私の個人的な好き嫌いでもあるのですが。。。

まっすぐな線が引ければ字はうまくなる



目次
◎これまでの「ペン習字の本」が駄目なわけ
まっすぐな線をきれいに引く---これが、字を書くことにおける基本であり、奥義だ。
実際に書道では、「一」という字を書くだけで、その人の腕のほどがある程度わかって
しまう。しかし、世の中に多数あるペン習字の本を見るに、その基本にまで立ち返って
上達法を解説しているものは皆無に近く、いきなり練習をさせたり、細かい注意点をいくつも
挙げてくる。そのため、読んでもなかなか字が上手くならず、途中であきらめてしまう人が
とても多い。

◎字が下手な人が心の底からほしかった一冊
そこで本書では、「きれいな字とは
どんな字なのか?」「字が下手な理由は」「字がうまくなるとはどういうことか?」などの
根本原理をわかりやすく解説した後、まっすぐな線の引き方とその練習法を紹介。
字が下手な人に欠けている「練習以前の大事な前提」「手本の上手な見方」を解説した
章などは、読むだけで本当に字が見違えてしまう。下手な字に悩むすべての人を救う、
基本から丁寧に解説を重ねた、「本当に字が上手くなる本」である。

印象に残った部分を引用。

書道の師範が、筆だけでなく万年筆やボールペンでも、はては黒板にチョークでも美しい字を書けるのには、二つの秘密があります。
@一つは、書道の師範の頭(脳)には「美しい字のイメージ」が完全に焼き付いているからです。
A二つめに、書道の師範は「まっすぐな線」をきれいに引くことができるからです。
「字がうまくなる」ということは、この二つが進歩すること、と言っても決して過言ではありません。
(中略)
@について具体的に説明すれば、書道家はどんなレベルになっても、新しいお手本に向かったときには、
練習を繰り返して脳にお手本のイメージを焼き付けようとします。そしてイメージが完成したら、こんどはそのイメージを意識しなくても再現できるよう、練習を繰り返すのです。
また、Aについては、
肘を主として、体をいかにうまく使うかを練習するということになります。
肘をとりわけ強調したのは、肘を使わなければ、絶対にまっすぐな線をきれいに引くことはできないからです。


ボールペン字や書道、つまり「字を書くということ」にかぎっては、大人のほうがきれいな字を書けるようになりやすい、というのが私の持論です。
なぜなら子供は、まず漢字を覚えたり、書き取りができるようになること自体に注意が向かわざるを得ないからです。ご自身の記憶をたどってみても、そんな気がしてこないでしょうか。
一方、大人は、字をきれいにすることだけに集中することができます。私の解説を合為で理解したうえで、手を動かすことができます。今までの経験を活かして、自分の字に反映させることもできます。あとは、正しい方向性とコツを知るだけです。


ただ「まっすぐに」といっても、そこには大きな意味がありました。
・字の中心を通すこと
・字の流れを作ること
・行間を通すこと
・最初から最後まで同じ気持ちで書くこと


上下左右の余白をそろえる


「きれいな字の定義」を整理する
きれいな字とは…
@まっすぐな線が引けている
A一つひとつの字のバランス、文章全体のバランスがとれている
▼中心線が通っている
▼上下左右の余白がそろっている
▼字配りがよい
▼漢字10、平仮名7、カタカナ8の比率が守られている
Bそのうえで書き手の個性が表れている


きれいな字の最後の条件である「個性の表現」は、字を書いていれば、必然的に実現できてしまうといえます。問題は、その個性の表現が、ペンや腕の動かし方がぎことないために、イメージどおりできない場合です。


私たちの体の中心は「おへそ」の位置です。字を書くときには、書く位置の中心とおへその位置を合わせます。


書聖と呼ばれる王羲之は、十五年もの間ひたすら「永」の字を練習して八法の原理を体得し、それをすべての字に応用したといわれています。皆さんもがむしゃらにたくさんの種類の字を練習する前に、基本となるまっすぐな線と、この八法をマスターすることが大切です。


疲れずにボールペンを安定させるには、どうやって持ったらよいのでしょうか?それは、ずばり「小指」に力をいれるのです。


机にのるのは手首と肘の中間まで


紙を動かして目線を一定に保つ


利き目にも注意して紙の中心を合わせる


書道の稽古は、古典とされる作品をよく見ながら、ていねいに似せて書くことが中心になります。これを臨書といい、すべての書道家がどのレベルになっても必ず行っている練習です。
臨書においては、ただ漫然と筆を運ぶのではなく、精密に古典を観察し、感覚を働かせ、頭を使って書くことが大切になります。


臨書が終わったら、必ず自分の字をながめます。書道家も臨書をしたら、穴が開くほどじっくり眺めます。お手本の自分の字がどう違うのかを見極めるために必要なことだからです。


練習で大切なのは、量ではなく質です。たくさん練習するのではなく、しっかりとお手本を見取り、自分の書いた字のクセを確認する。そして、お手本と照らし合わせて違いをチェックしていくことで、自分のクセを抜き、きれいな字へと練習を重ねていく。この流れが大切なのです。


「とん・すー・とん」の三折法
もう一つ、スピード以外に注意していただきたいのがリズムです。皆さんが日常生活で字を書くときは、おそらくリズムなどは気にしていないと思います。字をきれいにしたいと考えている人でも、スピードを気にするくらいでしょう。
しかし、一つの字画を書くという行為は、最初に筆を入れる「始筆」、線を引く「運筆」、最後にとめる「終筆」の三つに分かれています。この三つをスムーズに行う、自分なりのリズムを身につける必要があるのです。
日本習字では、それを「とん・すー・とん」の三折法として教えています。「とん」は始筆での一拍休み、「すー」は、その字画の線を運筆する動き、最後の「とん」は、終筆での一拍休みです。
漢数字の「一」を書くときも、「とん・すー・とん」と口ずさみながら書くと、リズムのあるきれいな字になります。


平仮名・カタカナは「字源」を知るとうまくなる
とくに大人の人は、字源を意識したうえでの練習で、驚くほど早く字がきれいになります。


個人的には、罫線のあるノートでのまっすぐな線を引く練習、小指に軽く力を入れること、利き目の把握が特に役立ちました。
字、うまくなりたいですねぇ。。。

<blog内関連記事>
To Be Freedom: 書初め@2012

<参考リンク>
書道のはな*みち -トップページ-

とめはねっ! 鈴里高校書道部 1 (1) (ヤングサンデーコミックス)
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posted by わけい at 08:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月05日

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき



破壊的イノベーションが既存の産業を大きく揺るがすことを指摘した名著。
HDDのイノベーションの中心に書かれているので、情報産業界で広く読まれているようです。

個人的には、破壊的イノベーションについては、大学の恩師が語られた、「馬車の性能をいくら磨いても、蒸気機関は生まれない」という言葉が端的かつ最もしっくりくる言葉です。
この本では、さすがに産業革命については語られていませんが、現在の経営を考えるために、非常に近い歴史の中で、破壊的イノベーションがどう生まれ、既存の巨大企業をどう揺るがしてきたかがレポートされています。
この本の中で示されている、「破壊的技術の特徴」が興味深いです。

P304
破壊的技術には、次のような特徴がある。
単純、低価格、性能が低い。
一般的に利益率は低い。
大企業にとって最もうまみのある顧客は、通常、それらを利用できず、利用したいと考えない。
最初は新しい市場か小規模な市場で商品化される。


イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)



【目次】

日本版刊行にあたって
謝辞

序章

第一部 優良企業が失敗する理由

第一章 なぜ優良企業が失敗するのか
    −ハードディスク業界に見るその理由−
第二章 バリュー・ネットワークとイノベーションへの刺激
第三章 掘削機業界における破壊的イノベーション
第四章 登れるが、降りられない

第二部 破壊的イノベーションへの対応

第五章 破壊的技術それを求める顧客を持つ組織に任せる
第六章 組織の規模を市場の規模に合わせる
第七章 新しい成長市場を見出す
第八章 組織のできること、できないことを評価する方法
第九章 供給される性能、市場の需要、製品のライフサイクル
第十章 破壊的イノベーションのマネジメント−事例研究−
第十一章 イノベーションのジレンマ−まとめ−

『イノベーションのジレンマ』グループ討論の手引き
解説
訳者あとがき

印象に残った部分を引用。

P269
マイクロソフト、インテル、シーゲートのマーケティング担当者がいつまで、自社の技術者が供給できる機能に対する需要を生み出すことができるかは不明である。たとえば、マイクロソフトの表計算ソフト「エクセル」は、一九八七年に発売されたバージョン1.2では1.2MBのディスク容量を必要としていた。一九九五年い発売されたバージョン5.0は、32MBのディスク容量を必要とする。業界関係者のなかには、開発チームが一般ユーザーに目を向けたら、機能が主流市場の需要を大幅に超えていることに気づくだろうと言う向きもある。もしそうなら、破壊的技術(たとえば、インターネットからダウンロードして、完全に機能を備えたコンピューターではなく簡単なインターネット端末で使えるアプレット)にとって、この市場を下から侵食するチャンスである。


P297
持続的技術と破壊的技術の需要の衝突によってイノベーターが直面するジレンマは、解決できる。マネージャーはまう、これらの衝突がどのようなものかを理解する必要がある。つぎに、各組織の市場での地位、経済構造、開発能力、価値が、顧客の力と調和し、持続的イノベーションと破壊的イノベーションというまったく異なる仕事を邪魔せず、支援する環境をつくり出す必要がある。本書がそのために役立つことを願ってやまない。


最後にこの本の中で最も重要だと思われる、「破壊的技術の原則」について、項目だけ引用しておきます。

P301
破壊的技術の原則

一、企業は顧客と投資家に資源を依存している
二、小規模な市場では大企業の成長ニーズを解決できない
三、存在しない市場は分析できない
四、組織の能力は無能力の決定的要因になる
五、技術の供給は市場の需要と等しいとはかぎらない

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2012年03月01日

新・家系の科学―二万余の調査で繁栄・衰退の法則がわかった!!

家系の科学―女性がキー・パーソンだった 家族愛を実らせる本 (トクマブックス)」と続けて読んでみました。



新・家系の科学―二万余の調査で繁栄・衰退の法則がわかった!!

目次
1 家系を支配する「縦横の法則」―あなたの運命は対応する先祖で決まる
2 家の没落と繁栄はこれで決まる―遺伝子に組み込まれる「家系の秘密」
3 これさえやれば自分の家系がたどれる―あなたの先祖はどのような人物!?
4 あなたの大切な家系が消える―やってはいけない!「絶家のパターン」とは
5 家系繁栄のキー・パーソンは女性だった!―夫婦仲良く妻を大切にしよう
6 家系でここまでわかる日本人の本当の姿―日本の「ホンネとタテマエ構造」を作ったのは女性たちだった!!

前作と9割方同じことが書いてあった。
読むなら、どちらかだけで良いと思います。

ところで本の内容とは外れるんですが、ほとんど面識のない人から知らない間に婚姻届を出されるというような事件が、まれにあります。
日本の婚姻制度の場合、三文判が押されていれば、書類一枚で、一人でも婚姻届を提出し、戸籍が作成されてしまいます。
後で気づいた時には、結婚の事実の無い相手と配偶者関係となっていて、受理の取り消しは非常に難しく、ほとんど人が「離婚」という方法でなんとか決着を付けるのですが、それも一苦労です。

日本は戸籍がかなり正確に保管されているので、この本のように、家系を辿ることは一般人でも、自分の戸籍ならかなり簡単に見ることができます。
この本の中で、婚姻の不安定さが後々の代に悪影響を及ぼすと書かれていますが、前述のような事件があった場合、どうなるのだろうと疑問に思ってしまいます。
異性関係に特にだらしないということがなくても、知らぬ間に結婚し、なんとか離婚で決着が付けられた方が、このような本を読んだ後々の代の人から、自分の不幸はこの人のせいだと責められないことを願うばかりです。
また、いくら正確に家系を辿ることができたとしても、その人を直接知る人がいなければ、実際にはどんな人であったかは分かりません。
異性にだらしのない人でも、戸籍上は一人の人と生涯を共にしたことしか分からないかもしれません。

もしあなたがこの本を読んだ後、自分の家系を辿ってみたとしても、それはあくまで参考にしかならないことを理解しておいてもらいたいと思います。
良い家系、悪い家系というのがあったとしても、あなたの人生と、あなたの子孫の人生の基礎を築くのは、あくまであなたです。
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2012年02月29日

「IT断食」のすすめ (日経プレミアシリーズ) [新書]



昔の会社で、ccメールの多さに辟易してたことを思い出した。
またプライベートでも、「成長するためには、情報をたくさん得なければならない」と無意識に思い込んでいた時期のことを思い出した。

本来は、メールは必ずアクションの必要なことや、確実に把握しておかなければならないことを連絡し合うたえに活用するもののはず。
友達同士や小規模な組織内では、自然とそうできているはずなのに、ほんの少し規模が大きくなるだけで、「ご参考に」というメールが数えきれない程に増える。
私の実体験として、最も変だと思ったのが、ccの宛先を把握しきれないということだった。

プライベートのSNS利用なども同じことが言えて、仲の良い友達ばかりなら、多少イライラすることや面倒くさいと思うことがあったとしても、「疲れる」などということはない。
けれど少し規模が大きくなるだけで、レスポンスが無いとそれだけでストレスを感じたり、逆にレスしなきゃ、レスにレスしなきゃと、忙しくなって疲れてしまう。

学ぶため、成長するため、また直接的に仕事や生活に役立つ情報を得るというのも、最初は検索やニュースサイトの一部を見れば十分だったものが、まるで情報を得ることこそが目的となってしまったように、取るに足らない記事にいつの間にか数時間を取られてしまう。

活用と中毒の間は、すごく近いから気づきにくい。
でもその心の中で起こっていることは随分違う。
最初は創造力や喜びばかりだったのに、いつの間にか無目的に動く機械のようになってしまう。

この本を読んで、今までITから離れようとしてとった行動は決して間違いじゃないものの、まだまだ足りないということを学べました。

「IT断食」のすすめ (日経プレミアシリーズ)

目次
プロローグ―IT中毒者たちの“多忙”な日常
第1章 本当は恐ろしい職場のIT
第2章 世代で異なる副作用
第3章 「IT黒船来襲」に踊る人々
第4章 依存症克服への「処方箋」
エピローグ―中毒症状を乗り越えて


印象に残った部分を引用。

P56
パソコンという万能の機械を与えられても、そこで行われているのは受動的な情報の加工作業ばかりで、新たなものは何も「創造」していない。こうしてBLTがまた増殖するのだ。
そこには、情報を「探す」力は求められるが、自分で考えて分析したり、判断したり、何より自分の意見を捻り出し、訴える力は求められない。
集めた情報を、あたかも自分の考えのように見せることに慣れてしまい、ついにはネットからコピペした情報と、自分の考えが区別できなくなってしまう。


P117
「ITが現場を変える」「ITが商品開発を支える」などのフレーズをよく耳にするが、それは明らかに間違いだ。あくまでも、現場を変えるの人であり、商品開発を支えるのは人だ。ITは主役ではない。


P120
IT中毒は、人間の深層心理に刻み込まれている、生物としての根源的な本能ともいえる欲求に起因していると考えられる。だからこそ非常に厄介で、容易に克服できない想像以上の強敵であり、難物なのだ。まずはこの事実を認識する必要がある。


P123
IT中毒とは、ITにより対処不能な量の情報や対話を抱え込み、逃れられないことが根本原因にある。容易に逃れられない、とめられないのは、「ヒト」の本能が強烈に働いているからだ。
(中略)
ダイエットを成功させることも、IT中毒を克服することも、「ヒト」の本能的欲求との闘いだと認識すべきである。それは、生き残ること、種を残すことをより確かなものにするために獲得した、「ヒト」の根源的な性質との厳しい戦いだ。


IT断食に取り組む際、参考になるのは、2011年の東日本大震災の影響による、電力不足への企業の対応だ。
産業界にも一律、15%の消費電力削減目標が課された。そのときの取り組む手順を思い出してみよう。
まず、会社として「消費電力の15%を削減する」などの明確な目標を設定する。そして現状を把握するために、今、車内の各部署で、どのように電力が消費されているかを調べて「見える化」する。
そしてその結果をもとに、職場ごとで具体的な施策に落とし込む。マイルストーンを決め、進捗を管理し、目標に達していない場合には見直しを行うというPDCA(Plan:計画、Do:実行、Check:評価、Act:改善)を粘り強く回していく。こうして多くの企業が目標数値を達成することができたはずだ。


P173
重要な時間は、最初から「天引き」する
(中略)
だらだらとITに振り回されることを止めるために、時間の使い方を「天引き」で構成しなおすのだ。
まず、一番大切な「やるべきこと」は何かを考えよう。
営業担当者であれば、「どうしたらお客様に喜んでもらえるか」を考える時間や、お客様訪問の時間を先に確保してしまう。商品企画であれば、アイデアを考える時間や、考えた結果をチームで検討する時間などを「天引き」すべきだろう。
こうして重要なことを全体の時間から「天引き」し、残った時間で作業をするというやり方に変えてしまう。
必要な作業が、「残った時間」におさまらないというのであれば、その中に不要な作業がないか、そもそもの部署や会社としての方針が不適切なために必要以上の作業が発生していないかを考える。会議の調整方法、決済プロセス、業務の進捗の共有方法などの効率化や、管理項目の絞り込みなどが必要となる可能性もある。


P179
ITという道具が与えられたままだと、頭を使って考えることをしなくなる。強制的に道具を排除して、自分の仕事は何か、付加価値とは何かを考えるところに追い込まなくてはならない。


P182
営業部門など、自分の足を使い、人と対話することがそのまま成果につながる部署では、IT断食の効果は出やすい。ただ、それだけではなく、「IT断食は無理なのでは」と思われがちな管理部門でも、ぜひ工夫をして実施すべきだ。
完全にパソコンをなくしてしまうことは難しいかもしれないが、短期間、部分的でもIT断食をすることで、現場から時間と考える力を奪っている過剰管理をやめるきっかけになるだろう。


P185
部品メーカーに勤める男性Fさん(38歳)は、8ヵ月ほど前から部下に対し、社内メールで安易なCCを禁止しているという。
「必要なときに限っては宛先にCCを入れてもかまいませんが、その場合にはメールの本文に、ちゃんとCCに入れた人の名前と、『内容を確認してどうしてほしいのか』を記載するように徹底しています。やみくもにCCに名前を入れなくなり、本当にメールを読んでほしい相手に絞り込むようになりましたし、メールを『見た』『見ていない』というトラブルも減りました」と話す。
また、営業担当者については、お客様にメールを送った後は、必ず電話をかけてフォローをすることも徹底しているという。「最初は面倒くさいという声もありましたが、今はすっかり慣れてきています」と話す。


P187
出張を増やす
現状のIT予算を10%減らし、それを出張費にまわすことをおすすめする。
IT予算のムダな部分を精査すれば、10%では利かないはず。人の足腰を弱めるIT投資をするよりも、これまで抑制されてきた出張費にまわし、社員たちを国内外各地の現場に送り出し、現場の人たちと話をしてくるようすすめるべきだ。ときには一杯飲んで現場の声をしっかり聞くのもよいだろう。
ITは一見、離れた現場とのコミュニケーションを促す便利なツールのように見えるが、それは人間関係ができあがっていることが前提である。直接会ったこともない人たち同士が、ITだけに依存したコミュニケーションを行えば、重要な情報がこぼれ落ちてしまう。


P198
1つ目が、「全員経営」という考え方だ。
「これは、『全員が経営者である』という意味ではありません。1人ひとりがお客様目線を持ち、常に自分にできることは何なのかを判断して、行動するという考え方。創業時からヤマトの社員に刷り込まれています。お客様の個々の状況に応じて、臨機応変に対応するという方針が、『ヤマトのDNA』です。これが根底にあったために、震災後、本社からの指示がなくても、各自が自律的に行動できたのだと思います。」


P200
小佐野氏は、情報システムについても同じ考え方を持っている。
「土台のDNAさえしっかりしていれば、IT中毒はそれほど怖くない。基本的に、ITでできることはすべてITでやった方がいいとさえ思っています」と言うのだ。
そして、システムを構築する際の考え方にも、ヤマトらしさが垣間見える。その根底にあるのは、人の力、現場の力だ。
「常にヤマトのシステムは『システムは止まるもの。ハードフェアは壊れるもの。人は間違えるもの』という考えを基本としています。だから、もし止まったときにも、手で動かせるようにしておくことを意識しています。止まることを前提にシステムを構築する。これは、情報システム部内に伝わるDNAになっています」
ITに対し、100%うまく動いていることを前提にせず、過度の依存をしない。かっちりした作りではなく、曖昧な部分を残した仕組みになっているというのだ。
「昔の建築物というのは、揺れて力が加わっても、たわんで力を逃すので壊れない。ヤマトのシステムというのは、そういう思想を基本にしているんです」(小佐野氏)
震災で現場力を遺憾なく発揮したヤマトグループは、私たちが本書で指摘しているIT中毒とは縁遠い。ITを上手に利用しながらも過度に依存せず、しっかりと共有された理念にのっとって、現場が自律的に判断し、行動する力を養ってきたのだ。


P218
IT断食をしたことがきっかけで、1日の時間の使い方を戦略的に考えるようになった。残業が減ったのに、営業成績は少しずつ上がってきている。
肩こりがなくなったのは、会社帰りにジムで運動するようになったせいだけではなく、パソコンの前に座る時間が減ったせいもあるだろう。
以前はお客様先訪問も大してせずに、1日中電子メールとプレゼン資料に縛られて「忙しい」「忙しい」と言っていた。
一体何にそんなに忙しかったんだろうか。今では思い出せない。


P228
「情報こそが企業の武器。そして情報イコールIT」と信じていたが、ITのために現場が疲弊するようでは本末転倒だ。
どんなにテクノロジーが進歩しようとも、日本企業の競争力の源泉は、現場の人の力なのだ。


「人間がITに使われる」ということを避けるために、「何のためにITを利用するのか?」その意識を明確にすることが大切だと思います。

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2012年02月28日

影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのか



行動経済学に繋がる心理学の専門書。
基礎的な内容は理解していたので、分厚さの割りには気軽に読めた。

影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのか

目次
第1章 影響力の武器
第2章 返報性-昔からある「ギブ・アンド・テーク」だが・・・・・・
第3章 コミットメントと一貫性-心に住む小鬼
第4章 社会的証明-真実は私たちに
第5章 好意-優しい泥棒
第6章 権威-導かれる服従
第7章 希少性-わずかなものについての法則
第8章 手っとり早い影響力-自動化された時代の原始的な承諾

著者本人の失敗談が数多く、かつ、面白おかしく赤裸々に語られているので、本の見た目に反してとても楽しく読めます。
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To Be Freedom@読書三昧: 亜玖夢博士の経済入門 (文春文庫)
To Be Freedom@読書三昧: 金融工学を勉強しよう
To Be Freedom@読書三昧: 選択の自由―自立社会への挑戦 (1980年)
To Be Freedom@読書三昧: だまされ上手が生き残る 入門! 進化心理学
To Be Freedom@読書三昧: 予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」




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2012年02月15日

家系の科学―女性がキー・パーソンだった 家族愛を実らせる本 (トクマブックス)



家系から見える、人の性格や似た人生の繰り返し、栄華や没落の由縁まで分かるという本。
タイトルは「科学」となってるけど、内容は科学的ではなく、たくさん家系図を見てきた「感想」としか言えない。

ただやっぱり、自分自身のことは気になってしまうもので、親とかには祖父や曾祖父の話を聞いてみようとは思った。
そういう意味では、これを読んだことで、ほんの少しだけ先祖を大切に思う心になれたのかもしれない。

家系の科学―女性がキー・パーソンだった 家族愛を実らせる本 (トクマブックス)

目次
まえがき 一万件の家系調査が歴史の「秘密」を解いた
第1章 家系を支配する「縦横の法則」―あなたの運命は対応する先祖で決まる
第2章 没落と繁栄―家系の秘密がなぜ遺伝子に組み込まれるか
第3章 家系をたどる―あなたの先祖はどんな大物か
第4章 家系が消える日―絶家のパターンにはまるな!
第5章 家系繁栄のキー・パーソンは女性だ―妻をバカにするなんてとんでもない!
第6章 家系でわかる日本文化のルーツ―ホンネとタテマエ構造を作った女性たちの知恵
第7章 家系学が示す日本文化の限界―ナンバーツー天国が停滞をうむ


印象に残った部分を引用。

よく、家系を調べると悪い先祖がいたことがわかったりするといやだから・・・という人がいますが、いま現在、私たちが生きているというだけで、私たちはいい先祖をもっていると自慢していいのです。

↑自分自身にたどり着くまでには、一度も絶えることなく命が繋がれて来たわけですから、先祖を辿れば、子どものためになら命を捨ててしまえるというような人が何人もいたでしょうし、経済的にも能力的にも、どこかしら優れたところがあったはずです。

この本の著者が言いたいのは、結局次の一言に尽きると思います。

子孫への最大・最良の贈り物は夫婦仲

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2012年02月14日

亜玖夢博士の経済入門 (文春文庫)



めちゃくちゃ面白かった!!

「小説」なんですが、これはなんなんでしょうか。。
ジャンルが全く説明できません。

「経済学」を基礎に、ホラーのような、サスペンスのような、コメディのような、感動物語のような、ハードボイルドのような、ミステリーのような。。。そんな小説です。

若干ブラックで苦手な人もあると思うので、万人向けとはいかないかもしれませんが、小説としても面白いのはもちろん、経済学の説明についてはとても分かりやすく、かつ、「なるほど、こういうことってあるよねぇ〜」と、小説の中では一見ハチャメチャなことでも、身近なことに置き換えて考えやすくなっています。

最初の二話は、この小説の世界観の導入でもあるので、ブラックな感触を楽しみ切るのは難しいかもしれませんが、三話目のラストでは涙がこぼれそうになりました。
それ以降はどんどん夢中になっていく感じでしたね。

ジャンルの説明不能な不思議な小説ですが、一読の価値があると思います。
ただ、ラストはちょっと尻すぼみな気がしないでもないですが。。。

亜玖夢博士の経済入門 (文春文庫)

目次
第1講 行動経済学
第2講 囚人のジレンマ
第3講 ネットワーク経済学
第4講 社会心理学
第5講 ゲーデルの不完全性定理

内容の解説は、亜玖夢博士の経済入門おもしろかった - ぼくはまちちゃん!(Hatena)【快作!】「亜玖夢博士の経済入門」橘玲:マインドマップ的読書感想文が分かりやすかったですよ。
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To Be Freedom@読書三昧: 予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」

<参考リンク>
亜玖夢博士の経済入門おもしろかった - ぼくはまちちゃん!(Hatena)
【快作!】「亜玖夢博士の経済入門」橘玲:マインドマップ的読書感想文




posted by わけい at 06:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月12日

1分で身につく片づけ力 (ベスト新書)



「かたづけ士」小松易さんの本です。
「片付け」関係の本はたくさん出ていますし、ほぼ常にベストセラーの一角に入り込んでいますね。
最近は、片付けコンサルタント的な仕事もあるみたいで、小松易さんもそのおひとりです。
片付けの本を読むのが好きなので、何冊も読んでいますが、その中で私が特に惹かれるのが、「かたづけ士」小松易さんです。

小松易さんの魅力は、シンプルで、分かりやすいところです。
初めてTVで見た時、小さな町の靴屋さんをコンサルティングされていました。
乱雑に積み上げられた靴の箱。店の奥にはさらに乱雑な靴の倉庫がありました。
店主の人柄は良いのに、あまり売れていない様子。
そこで小松さんがアドバイスされたのは、たった一言。
「箱のほこりを取りましょう」
店主の方も、根が真面目だったのでしょう、すぐに取り掛かられました。
すると、ほんの数日で店が片付いてしまったのです!
箱のほこりを取るためには、店内を整理していかざるを得ないのですが、何をどうやったら良いのか分からない店主の方にとって最適な「ひとこと」だったのだと思いました。

たったひとことによって、店主の方はほこりを取り除きながら店内を片付け、そうするうちに乱雑だった頃には靴のサイズを探すという、靴屋の最も基本的な仕事すらできていなかったのができるようになり、売り上げも少しずつ上がり、商品のレイアウトも考えられる程になったのです。
「ほこりと一緒に、貧乏神がいなくなったみたいだ」とおっしゃる店主の方の嬉しそうな顔を作ったのは、「ひとこと」のアドバイスだけ。
その姿に感動し、本が出るたびにどんどん読んでいます。
一種のファンみたいなものですかね。

さて、今回はそんな「かたづけ士」小松易さんによる、「新書」です。
コンパクトなので、電車内でも読みやすいですね。

1分で身につく片づけ力 (ベスト新書)

目次
1章 財布でわかるあなたの片づけ力
2章 片づけないのは大きな損失
3章 片づけられない4つの理由
4章 片づけ力の6つの波及効果
5 片づけられない「前中後」の3タイプ
6章 片づけられる人の三原則
7章 3つのカタをつける片づけ
8章 片づけ力の磨き方


特に印象に残った部分を引用。

P15
身の回りを整理整頓していくことは、あなたの人生も同時に整理整頓することにつながっていくのです。


P38
私の仕事は、収納の工夫を考えることではなく、「なぜ乱雑になってしまうのか」という原因を考え、その解決策を依頼者の方といっしょに考えていくことなのです。


P44
片づいていないことによるムダには、「時間のムダ」「気持ちのムダ」「労力のムダ」「チャンスのムダ」の4つがあります。


P58
片づいていない状態のムダで、いちばん大きいのは、私は「気持ちのムダ」ではないかと思います。片付いていない状態で仕事をしたり、生活をすると、なぜかイライラしてしまうのです。


P65
片づけられない本当の理由は、4つに集約することができます。

・「ものが多すぎる」という物理的な理由
・「周りにものがないと不安になる」という心理的な理由
・「片づけの効果がわからない」という経験的な理由
・「片づけること自体が嫌いだ」という生理的な理由


P69
ものを絞りに絞っても、自分が何をしたいかがはっきりしてれば、決してものが少なすぎて楽しめないということはないのです。


P77
私のいう”片づけ”は、片づけることが目的ではありません。片づけというベクトルの先に何があるかが重要なのです。片づけを通じて、何がしたいのか。
私は、片づけという作業を通じて、気持ちのいい仕事の仕方や幸せなライフスタイルを送っていただきたいと考えています。もし、片づけることだけが重要なら、なにも私にコンサルティングを依頼する必要はありません。清掃業者を頼んで片づけてもらえば、いちばん手っ取り早いですし、コストもかからないでしょう。


P86
わかりやすくいえば、人生に必要なことは片づけで学べるのです。
(中略)
片づけができるようになると、どんな波及効果があるのでしょう?
ここでは、6つの波及効果を紹介します。
・実行力
・決断力
・継続力
・思考力
・問題意識力
・指導力

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