2009年07月07日

「激流中国」

NHKスペシャルで放送された、同名番組を本としてまとめたもの。

とにかく、ものすごく面白い。
毎度のことながら、NHKのドキュメンタリーは凄いと思う。

目次

富人と農民工
病人大行列―一三億人の医療
上海から先生がやってきた―貧困の村で
チベット 聖地に富を求めて
民が官を訴える―土地をめぐる攻防
北京 怒れるニュータウン―沸き上がる住民パワー
ある雑誌編集部 六〇日の攻防
五年一組 小皇帝の涙
青島 老人ホーム物語
北京の水を確保せよ―しのびよる水危機
告発せよ 摘発せよ―環境破壊との闘い
訴えられたカリスマ経営者―追跡・ブランド騒動
密着 共産党地方幹部



激流中国





でも付箋を貼ったり、線を引いたりは基本的にしなかった。

というのは、中国ではこの内容が、タイトル通り「激流」のように変化しているからだ。
今の時点でこの内容はすでに古いし、読み返す頃には(それが例え数日後とかであっても)、もう遠い過去のものとなっているはず。

それでもこの取材が重要なのは、中国史上最も歪んだ”今”を見事な客観性をもって伝えているからだ。

この本を読む上でというより、個人としての中国人、あるいはナショナリズムとしての中国と付き合っていく上で、心構えとして知っておくべき前提が、「あとがき」に書かれている。


いま中国で取材を受ける人々の心の中で優先されているのは、国家意識よりも自分という個人、あるいは自分たちの主張である。(中略)本稿でも言及した「個」の意識の拡大がその背景にあるのは間違いないだろう。


正直なところ、この指摘は、個人的には「今更かよ」と思う。
中国人と個人的な付き合いをしていると、一般人はもちろん、共産党員であっても、そのしたたかさに圧倒されることが多々ある。
むしろ今は、より根深い所で、国家意識が強まっている気がする。

今までは、共産党支配というのは、中国の歴史の中で、幾度も幾度も交代した王朝のようなものという意識が、どこかにあったと思う。
けれど、経済が発展、安定する中で生まれてきた歪みを是正しようとする、共産党上層部と、一般民衆の考え方に共通意識が生まれてきているように感じる。
それはこれまでの「主義主張」というナショナリズムではなく、「国家が国民の為に何をするか?」そのために「国民は国家のどの要求に応えるか?」という双方の思惑の膨張である。

一人っ子政策により、止めようのない早さで進む高齢化、またさらには環境汚染。
さらに、農村における1億5千万人という余剰労働者を解消するためには、まだまだ経済発展を続けなければならない。
中国は貧富の格差が激しいと言われるが、富の再分配をするための経済基盤がまだできあがっていないというのが、本当の所だろう。1億5千万人という、日本の総人口をしのぐの余剰労働者を解消する為には、どのくらいの経済発展が必要か、それを想像するだけで、絶望的な気分になる。
経済発展と環境改善を同時進行に行うことの難しさは、日本の歴史が証明している。
高齢社会の中で、経済が減速することは、日本のデフレスパイラルの主たる原因がそこにあったこと、また、金融崩壊の本当の原因が、高齢人口が溜め込んだ金融資産を現金化したことが主たる引き金であったことを考えれば、容易に察しがつく。

今まで、経済発展を続ける中国を見るとき、日本人の多くは、日本の高度経済成長期を思い返していただろう。
けれどこれから先、中国が見せるのは、世界の未来の姿だと思っておいた方が、良いのかもしれない。
posted by わけい at 08:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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