2010年05月13日

不可触民の道

「不可触民―もうひとつのインド」に続いて。
深い。難しい。でも、夢中になって読んだ。

不可触民の道 (三一新書 920)

不可触民の道―インド民衆のなかへ (知恵の森文庫)

不可触民の道 (1982年) (三一新書)
内容としては、不可触民の人びと、活動家、そして佐々井秀嶺というインド民衆の中で生きる一人の僧侶へのインタビューが中心のドキュメント。
BAMCEF(全インド後進コミュニティ公務員連盟)カンシ・ラム委員長の言葉

近い将来、われわれの政党、組合も生まれるでしょう。その時こそインドが変わる時です。
大言壮語、誇大妄想家と嗤われようと謗られようと構いません。このような仕事を遂行するにはどんな人間でも“狂気”が必要です。この狂気に正しい方法と運動理論をあたえ、行動してゆくこと。これが私の任務であり、生涯を賭した仕事なのです。
見ていて下さい。二億の奴隷が奴隷であることを拒否する時代がやっと、初めてこの国に訪れたのです。誰かが、いつかはやらねばならぬ“王道”なのです。
アンベードカル博士の屍を乗り越え、仏教徒の人びともその先頭に立って進もうとしています。必ず新しい時代が来ます。そしてこの奴隷的差別を永遠にこの国から放逐しなくてはなりません。

が、本当になったということを、さらにそれがまだまだ進んでいることに、深く深く感動する。
大衆社会党

また、「活動家」という程大げさではない一般農民で、仏教徒に改宗したカンファーレさんという方の言葉が真理をついていて、明快だった。

「ガンジーさんは“偉い”お人じゃった。それを頭から嘘だとは思いません。しかし、ガンジーさんが偉かったということと、わしらの運命とを結びつけるのは間違いじゃと思うとります。カーストヒンズーがみんなガンジーさんのいうことをきいたらわしらも救われる、ということは、もしきかなんだらどうなるのです。ガンジーさんは命を張ってわしらを救おうとされたお人じゃ。だからお前もガンジーさんに従え。ガンジーさんの“偉さ”をもっと理解せえ、というだけでは、わしらは救われんのです。何故なら、ガンジーさんの教えはあくまでもカーストヒンズー中心に説かれているのですし、その教えをカーストヒンズーが守らなんだら、この社会は、少なくともわしらの運命は変わらんのです。カーストヒンズーが“変る”のを一体いつまで、どうやって待ったらいいのです。そのことについてガンジーさんは何もいわなんだし、具体的なことは何もせなんだのです。三〇〇〇年も変らなんだことが、ガンジーさんの言葉だけで変るもんでしょうか。アンベードカル博士はそこを誰よりも鋭く見抜いておられたのだと思います。わしら自身の力で変えるしかない。そのためには仏教徒に改宗して、新しい世界を自分たちで築くのだ。カーストヒンズーもいつかは、何十年先か何百年先か分からんが、変るだろう。それはそれでいいではないか。だけど、そんなことに頼っていてはいかん。そんな考えに惑わされていてはわしらはその間いつまでも奴隷の身でいる。ガンジーさんの教えや考えにすがることは、カーストヒンズーの“改心”にすがることであり、それは結局奴隷の思想だ、とアンベードカル博士は、はっきり告げておられたのです」
他の別の農夫はしっかりとした口調で、明確に“自分”の考えとしてアンベードカルの思想、ガンジーイズムの急所をついた。四〇半ばのその農夫の顔を私はまじまじと見詰めた。彼はまじろぎもせず私を見返した。
BAMCEFのデリー本部で出会ったボドガヤの農民指導者といい、バンガロールのラジャン氏といい、無名の不可触民大衆の目覚め方の深さとその認識力の確かさに私は圧倒された。この人びとを昔に戻すことはもはや不可能なのだ。そのことに一番気づいていないのは、この国の支配階層であり、カーストヒンズーたちなのだ。彼等の無関心さと心に潜む恐怖がその何よりもの証拠だ。世界はカーストヒンズー、ブラーミンを中心に動いてゆく。ガンジーイズムはその夢物語のリフレインのひとつにすぎない。この人びとはそのリフレインを口ずさむことを拒否した。そして別の歴史の物語を自ら創り出そうとしている。



「お寺も必要じゃから、これはわしらに使わせてくれとねばり強く交渉して、カーストヒンズーを説得しましたのじゃ。その時には暴力沙汰も度々起りましたが、わしらの団結が勝ったのです。理不尽なもんが頼るのはいつも暴力しかありませんからの。その暴力に立ち向かうのはわしらの団結と、理を通す決心だけですじゃ」


<blog内関連記事>
不可触民―もうひとつのインド

<参考URI>
大衆社会党
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E8%A1%86%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E5%85%9A

posted by わけい at 11:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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