2011年02月23日

命と存在を支え合う――相楽福祉会の理念と実践



永年、知的障碍者支援に携わってこられた、社会福祉法人相楽福祉会理事・廣P明彦さんの想い。

私も同じような分野にいる端くれとして、共感できる部分、「すごいなぁ」と圧倒される部分がたくさんありました。
「この子らを世の光に」の糸賀一雄先生の影響を色濃く受けた方なのだろうなぁという印象を受けました。

amazonでの取り扱いが無いため、商品リンクを貼れないのですが、紹介させて頂きます。


相楽福祉会の理念

人はその生育の歴史を背負うたありのままに互いにかけがえの無い、一回限りの生きた存在として、心から大切にされねばならないことを、根底的な認識とする。
自ずから決する命のあり方を内にとどまることなく、すべての人々が共感できうる地域社会を、ともに築きゆくとともに、解き放たれ、真に自立した人々の関係を求めゆくことを基本理念とする。
(1993年1月社会福祉法人設立時制定・前段起草-三輪信行・後段起草-廣瀬明彦)


命と存在を支え合う - Google 検索


目次

はじめに
1 行事
2 「働く」あるいは「作業」
3 工賃について
4 用語そして言葉の周辺
5 送迎について
6 カレンダー
7 4%カンパ
8 サービスの切り売り
9 障害者自立支援法批判の一部
10 変革の兆し
11 個別ケア会議
12 生産展
おわりに


印象に残った部分をほんの一部引用。

(職員が利用者と)一緒に体験したいという思いはいいなあ。

1 行事
括弧内は引用者が追加。


確かに、その意味も分からず、他者にいわれた草引きなどおもしろいはずがないでしょう。それを無理やり「させる」こと、それは労働でもなんでもなく「苦役」というほうが正しいと思います。
その作業や行為の意味を理解し、またその結果を予測することで、「労働」となり、「合目的的行為」となりうるのです。私達も全く同じことです。
(中略)
本人の理解を超えた行為を強制したり、制止したりするだけの支援は「苦痛」を与えているだけではないかと自問したいものです。

2 「働く」あるいは「作業」


頚椎損傷や脊椎損傷によって重度障害者となった人々が、カリフォルニア大学ハークレー校に通い、のちに学内で障害者もあたりまえに学べるよう学内改革運動を開始しました。
これが、「自立生活運動」の始まりでした。「自分で、着替えを行うと2時間かかる。それをアテンダントに依頼すれば15分で終わる。余った時間を私らしく生きることを選択できる。どちらの方法をとるかは私が決める。この自己決定こそが自立である」と訴えたのが、この運動の本質です。この自己決定が自立であるというのが、障害福祉分野における自立観として、世界的に普遍化していきました。

4 用語そして言葉の周辺


かつて「駅に車いすの会社員が毎朝毎夕決まった時間に通勤電車に乗るために、駅に来る。エレベーターがなかったときは、駅員3人が決まった時間に、朝は改札口、夕はホームに待っていた。いつも相互に談笑する姿が見受けられた。エレベーターが設置され、会社員は自分でホームに移動するようになり、その風景はなくなった」。
さて、比較してどう感じるかという間いを毎年学生に出していました。そこから1時間ほどの議論をしてもらうことを楽しみにしていました。
(中略)
「北欧に在住経験があるが、向こうでは考えられない。落としたときのリスクや車いすを持ち上げて上がるときの駅員の腰痛や膝痛を考えると、労働者の人権侵害になるので、そもそもエレベーターがないということが考えられない」という意見が印象的でした。市民が同様の場面に遭遇してもそう考えるのが一般的みたいです。そういえば、北欧にはボランティアという概念はあまりないように聞いています。

7 4%カンパ


私たちの「社会福祉」領域には「ソーシャルアクション」という言葉があります。私は、「ニーズ」に出会い受け止め、これは大変やあと共感しつつ支援の実践を行い、その実践が普遍化できそうであれば、まとめて制度化への運動を行うというのが基本ですと以前に述べました。この最終プロセス、即ち社会化、制度化するプロセスを一般的にソーシャルアクションと呼ぶ方が多いようですが、私はこれらの連続するプロセス総体をソーシャルアクションと捉えています。

10 変革の兆し


あすの朝はたぶん間違いなく目覚める。しかし半年後は? これは病とともに生きている人だけでなくおそらくすべての人に共通と思われます。同じです。明日起きたらこれをして、あそこへ行って、そうそうあの本を再読してみよう、という何気ない「希望」と、その先にある「こんなこともしてみたい」というささやかな「夢」と、久しぶりにあの人に会いたいなあという「関係」などの大きな支えもまた同様です。
生活のしづらさを変えていくことだけでなく、何気ないようでも、生きていくうえで大切なモノを一緒に探し出していけるようなそんな支援者になれたらなあと思います。
まだまだ頑張らなくては… 。一回限りの命、これもすべての人に共通です。

おわりに


気軽に読める文章なので、障碍者福祉に関係している人も、そうでない人にも、オススメできる一冊です。

<参考リンク>
昨日は1日東京でした1(本のおすすめ): ソーシャルワーカー原田 和明のブログ

<blog内関連記事>
To Be Freedom@読書三昧: 「この子らを世の光に」



posted by わけい at 10:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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