2012年03月05日

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき



破壊的イノベーションが既存の産業を大きく揺るがすことを指摘した名著。
HDDのイノベーションの中心に書かれているので、情報産業界で広く読まれているようです。

個人的には、破壊的イノベーションについては、大学の恩師が語られた、「馬車の性能をいくら磨いても、蒸気機関は生まれない」という言葉が端的かつ最もしっくりくる言葉です。
この本では、さすがに産業革命については語られていませんが、現在の経営を考えるために、非常に近い歴史の中で、破壊的イノベーションがどう生まれ、既存の巨大企業をどう揺るがしてきたかがレポートされています。
この本の中で示されている、「破壊的技術の特徴」が興味深いです。

P304
破壊的技術には、次のような特徴がある。
単純、低価格、性能が低い。
一般的に利益率は低い。
大企業にとって最もうまみのある顧客は、通常、それらを利用できず、利用したいと考えない。
最初は新しい市場か小規模な市場で商品化される。


イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)



【目次】

日本版刊行にあたって
謝辞

序章

第一部 優良企業が失敗する理由

第一章 なぜ優良企業が失敗するのか
    −ハードディスク業界に見るその理由−
第二章 バリュー・ネットワークとイノベーションへの刺激
第三章 掘削機業界における破壊的イノベーション
第四章 登れるが、降りられない

第二部 破壊的イノベーションへの対応

第五章 破壊的技術それを求める顧客を持つ組織に任せる
第六章 組織の規模を市場の規模に合わせる
第七章 新しい成長市場を見出す
第八章 組織のできること、できないことを評価する方法
第九章 供給される性能、市場の需要、製品のライフサイクル
第十章 破壊的イノベーションのマネジメント−事例研究−
第十一章 イノベーションのジレンマ−まとめ−

『イノベーションのジレンマ』グループ討論の手引き
解説
訳者あとがき

印象に残った部分を引用。

P269
マイクロソフト、インテル、シーゲートのマーケティング担当者がいつまで、自社の技術者が供給できる機能に対する需要を生み出すことができるかは不明である。たとえば、マイクロソフトの表計算ソフト「エクセル」は、一九八七年に発売されたバージョン1.2では1.2MBのディスク容量を必要としていた。一九九五年い発売されたバージョン5.0は、32MBのディスク容量を必要とする。業界関係者のなかには、開発チームが一般ユーザーに目を向けたら、機能が主流市場の需要を大幅に超えていることに気づくだろうと言う向きもある。もしそうなら、破壊的技術(たとえば、インターネットからダウンロードして、完全に機能を備えたコンピューターではなく簡単なインターネット端末で使えるアプレット)にとって、この市場を下から侵食するチャンスである。


P297
持続的技術と破壊的技術の需要の衝突によってイノベーターが直面するジレンマは、解決できる。マネージャーはまう、これらの衝突がどのようなものかを理解する必要がある。つぎに、各組織の市場での地位、経済構造、開発能力、価値が、顧客の力と調和し、持続的イノベーションと破壊的イノベーションというまったく異なる仕事を邪魔せず、支援する環境をつくり出す必要がある。本書がそのために役立つことを願ってやまない。


最後にこの本の中で最も重要だと思われる、「破壊的技術の原則」について、項目だけ引用しておきます。

P301
破壊的技術の原則

一、企業は顧客と投資家に資源を依存している
二、小規模な市場では大企業の成長ニーズを解決できない
三、存在しない市場は分析できない
四、組織の能力は無能力の決定的要因になる
五、技術の供給は市場の需要と等しいとはかぎらない

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posted by わけい at 14:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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