2012年11月29日

独立国家のつくりかた(坂口 恭平)



めちゃくちゃ面白くて、夢中で読んだ。

バーニングマンの精神に通じるような、世間一般的な意味での「経済」から抜け出して、自分らしく楽しく生きる方法を模索する。

「世界を変える」という革命ではなくて、生き方、モノの見方を変えることで、革命はいくらでも起きていることを実感できる。

確かに夢中で読んだし、共感もたっぷりしたのだけど、読了後ぼんやり考えていると、自分の今の生き方ってそもそもこんな感じだよなぁと。
つまりは、生活のために働いているのではなくて、必要とされているところで必要とされることをして、感謝してもらえた時、金銭や物として表現してもらえることもあれば、言葉やしぐさで表現してもらえることもある。実際のところ、後者が大半だ。
でも、そんな生き方に対して「応援したい」と思ってくれる人は、信じられない額の金銭や、自分ではとても買えない物を下さる。それを使ってボクは、また必要とされる所で必要とされることをしたり、お金を遣ったりする。

で、人間として生活する以上、ほとんどの人が多かれ少なかれ、こんな場面に出会っていると思う。
仕事はただ生活費を稼ぐためにするんじゃないし、近所づきあいだってそうだ。
誰もが互いに応援し合い、支え合っているのが現実の社会なんじゃないだろうか?

この本は、そんな現実にフォーカスを当てて、その時間をより長くしようっていう提案なんだと、今は思う。

独立国家のつくりかた (講談社現代新書)



目次
プロローグ ドブ川の冒険
第1章 そこにはすでに無限のレイヤーがある
第2章 プライベートとパブリックのあいだ
第3章 態度を示せ、交易せよ
第4章 創造の方法論、あるいは人間機械論
終 章 そして0円戦争へ
エピローグ 僕たちは一人ではない

印象に残ったフレーズを少し引用。

P6

坂口恭平が抱える、子どもの時からの質問-
1 なぜ人間だけがお金がないと生きのびることができないのか。そして、それは本当なのか。
2 毎月家賃を払っているが、なぜ大地にではなく、大家さんに払うのか。
3 車のバッテリーでほとんどの電化製品が動くのに、なぜ原発をつくるまで大量な電気が必要なのか。
4 土地基本法には投機目的で土地を取引するなと書いてあるのに、なぜ不動産屋は摘発されないのか。
5 僕たちがお金と呼んでいるものは日本銀行が発行している債券なのに、なぜ人間は日本銀行券をもらうと涙を流してまで喜んでしまうのか。
6・庭にビワやミカンの木があるのに、なぜ人間はお金がないと死ぬと勝手に思いこんでいるのか。
7 日本国が生存権を守っているとしたら路上生活者がゼロのはずだが、なぜこんなにも、野宿者が多く、さらには小さな小屋を建てる権利さえ剥奪されているのか。
8 二〇〇八年時点で日本の空き家率は13・1%、野村総合研究所の予測では二〇四〇年にはそれが43%に達するというのに、なぜ今も家が次々と建てられているのか。
こんな質問をあなたの子どもがしたら何と答えるだろう。
さあ「独立国家のつくりかた」のはじまりはじまり。


P19

何かを「変える」ことが革命なのではない。むしろ、革命がすでに起きていることを、思考の転換によって見つけ出すことができる。それは「変える」というよりも方法論である。生き方は無数にあるということを気付く技術。
それだけで「生」そのものの在り方を変えることができるのだ。


P41

何かを変えようとする行動は、もうすでに自分が匿名化したレイヤーに取り込まれていることを意味する。そうではなく、既存のモノに含まれている多層なレイヤーを認識し、拡げるのだ。
チェンジじゃなくてエクスバンド。それがレイヤー革命だ。


P52

この国には「住むとは何か」を規定する法律が実は一つもないのである。
水道を引けば住むなのか、仮眠をとったら住むなのか、食事をしたら住むなのか。
何も決まっていない。つまり、この国には税金をとることができる「家」はあるが、「住まい」は存在していない。逆にとれば、住まいは自分の思い通りにやれるということでもある。
日本において「住まい」は自由だ。思い通りに暮らせばいい。本当は素晴らしい国なのかもしれない。


P56

試せば試すほど、人間はどんどん智慧を身につけていく。そして恐怖心が和らいでいき、どんな困難な状態であろうと淡々と生きていくことができるようになる。
なぜなら試すことで「知った」からである。
自らの生活に必要な「量」を。不安ではなく恐怖の実体を。つまり、生きるとは何かを。
自分でゼロから考えてやれば、どんなことだってできる。しかも、実は社会システムですらもそれを許容してくれるように設計されているのである。ただそこで生きる人間たちが勘違いしているだけなのだ。なにもできない、と。お金がないと死んでしまう、と。
でも、それはちゃんと路上生活者たちが実践していた。彼らはお金とは違う経路で、土地を、家を、畑を持っていた。保険のない生き方。貯金のない生き方。でも不安のない生き方。相互扶助の生態系を。


P104

お金はみんなで楽しむためにある。僕はそう思っている。そのことに対しては使いたい。だから、みんなでご飯を食べたり、誰かをこちらに呼んだりすることだったり、人が集まるような催しを企画し、実現するときにお金を使うのだ。
それ以外に、お金を使うものがあるのか。
少なくとも僕には、ない。


P106

必要とされること、それこそが生きのびるための技術なのだ。必要な人が、もしも体調を崩したら大変だ。だから人は日頃から大事にする。それが人間関係である。必要な人というのは、別に何か専門的な技術を持っているのかどうかは関係ない。それよりも一緒にいたいと思う人のことを指す。子どもがそうだろう。子どもはただ育てるだけの面倒くさい存在ではない。いるだけで、その共同体に力が漲るのだ。時折、子どもがヘマをすることもあるが、それはただむかつくことではない。それよりも共同体に豊かな笑いを提供するのだ。
このように、人間には言葉にできない、それぞれの才能がある。
それらをもっと高い解像度で認識し、共有し、助け合う。これが態度経済の基本的な考え方である。
つまり、当たり前のことを僕は言っているのだ。
何も新しい概念ではない


P162

自分のやりたいことなんてどうでもいい

僕は大学に呼ばれて学生たちと話すことがある。そうすると、彼らはしばしば「自分は〜をしたい」と言う。若い人はここのところをよく勘違いしている。あなたが「やりたいこと」など、社会には必要ない。今すぐ帰って家でやれ、と僕は言ってしまう。やりたいことをやって生きる? 無人島か、ここは。芸術というのはそういうことを指すものではない。
「自分がやりたいことを考えてきます」と言う若者もいる。何も考えてこなかったのだろうか。その人たちにちゃんと話を聞いてみると、どうも見つかるような気がしないと自分で思ってしまっている。そうじゃない。それでは食っていけない。
やりたいことは無視して、自分がやらないと誰がやる、ということをやらないといけない。しかも、それは実はすべての人が持っているものだ。絶対に。なぜなら人間は考える葦と言うじゃないか。考えているのだ。自分の得意なこととかやりたいこととかはどうでもよくて、ただ考えている。それを口に出す。
(中略)
自己実現をするのではなく、社会実現に向かっていく。
それをまず決めるんだ。


P177

人はよく仕事が忙しくてできないと言う。それじゃ駄目だ。まわりを見ていると、一番自分という体が有効に使えるはずの「社会を変える」という行為に対してだけ楽をしちゃっている。それで、試してもいないのに、社会はなかなか変わらないとか言ってしまっている。それは楽をしているのではない。ただ「生きること」をさぼっているのだ。後は一生懸命生きちゃっている。それじゃだめだめ。もっと楽をしないと。もっと適当にしないと。


P194

働かないと人間が駄目になってしまう。お金もやはり少しは大事。そういうことを考える人のことも理解できるが、国民が住宅ローンや車の購入など惜金をすることで経済が発展するという、まったく合理的ではない考え方をもう改めないといけない。
さあ、そろそろ行動に移そうじゃないか。僕たちがおかしいと思っていることを本当に態度で示そうじゃないか。これは戦いでもある。労働という、お金という軛からの解放運動だ。僕たちはある意味では悲しいかな奴隷である。そこから抜け出さないといけない。
そのための戦いである。しかし、僕は非暴力・不服従の精神だ。しかも0円精神。
つまり、Zero Publicは0円戦争だ。暴力は一切ない。0円という攻撃である。思考することで起こす革命である。
さあ、みんなも一緒に始めよう。この政策にはみんなの力が必要である。


P196

生活費が0円になれば、労働に縛られることがない。自分で人生を選ぶことができる。何もしたくない人はしなければいい。そんな人はいないから。人はそれでは退屈なので、何かしら行動を求める。お金のためでなくても公園をつくろうとする、あの中野の庭師のように。労働から解放されるということが使命を全うするための近道になるはず。僕はそう考えている。


P204

エネルギーでさえ、実は自分たちで、しかも0円でなんでもできるものである。もちろん、自然の贈与を受けてのことだが。僕たちは本当に自然には感謝しなくてはならない。地球に優しくなんて言っている場合ではない。僕たちはすでに地球に優しくされているのだ。

人気ブログランキングへ
にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村
<参考リンク>
バーニングマン - Wikipedia

<To Be Freedom@読書三昧blog内関連記事>
To Be Freedom: 上海、時間銀行。
To Be Freedom@読書三昧: 亜玖夢博士の経済入門 (文春文庫)
To Be Freedom@読書三昧: 経済成長なき社会発展は可能か?――〈脱成長〉と〈ポスト開発〉の経済学
To Be Freedom@読書三昧: 「人口減少経済」の新しい公式―「縮む世界」の発想とシステム
To Be Freedom@読書三昧: 予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」
To Be Freedom@読書三昧: 経営者・平清盛の失敗 会計士が書いた歴史と経済の教科書
To Be Freedom@読書三昧: 持続可能な社会をめざす8人のライフスタイル
To Be Freedom@読書三昧: だまされ上手が生き残る 入門! 進化心理学
To Be Freedom@読書三昧: イニュニック 生命―アラスカの原野を旅する

posted by わけい at 17:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック