2017年09月12日

帰ってきたヒトラー(ティムール・ヴェルメシュ (著), 森内薫 (翻訳) )

映画化もされて話題になった小説。
ヒトラーが自殺したところから現代にタイムスリップしたところ、モノマネ芸人として人心を掌握していく物語です。
ヒトラーは一貫して何も変わっていないのに、周りの彼を見る目はどんどんと変わっていく。
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印象に残った個所を引用

上巻・本書について
本物のアドルフ・ヒトラーなのだ。しかし、彼はいたって正気である。 ベルリンのミッテ地区の空き地からキオスクへ、はたまたトルコ人のクリーニング屋へ、 そしてついにはテレビ局に。その快進撃をわくわくしながら読み進めていた読者は、同時にわずかな後ろ暗さを感じるはずだ。それは、最初は彼を笑っていたはずなのに、ふと気がつけば、彼と一緒に笑っているからだ。ヒトラーとともに笑うーこれは許されることなのか? いや、そんなことができるのか?どうか、自分でお読みになって試してほしい。この国は自由の国なのだ。今のところはまだーー。

下巻・P256
この本はタイムスリップものとしてもおもしろく読めるし、現代社会への痛烈な風刺としても読める。しかし私がいちばんおもしろくも恐ろしくも思ったのは、ヒトラーと周囲の人間との会話のすれ違いだ。会話はすべてが誤解と齢齢の連続で、それが読者の笑いを誘う。ユダヤ人の祖母をもつ女性がヒトラーを問い詰めるという非常にシリアスな場面ですら、その会話はほぼかみ合っていない。ヒトラーは相手が必死に訴えることをまったく理解しない。理解できない。テレビ局の人間が言う「ユダヤ人を冗談の種にしない」というルールについても、ヒトラーがそれに従うのは倫理性ゆえではもちろんなく、反ユダヤ主義者として本心から「ユダヤ人は冗談の種にならない」と思っているからにすぎない。

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posted by わけい at 21:01| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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