中国庶民が過ごす、切なくも温かい春節に触れられる絵本。
とてもとても優しくて、最後の方は涙が溢れてなかなか読み進められませんでした。
絵本の読み聞かせボランティアをしている母から、「中国語の素敵な絵本を見つけたけど、読み方も意味も分からないから教えて欲しい」と渡されたのが、この絵本の中国語版でした。
2010年の4月から6月にかけて、辞書を引き引き頑張って翻訳し、切ない読後感に感動を覚えました。
ここで紹介するのはその日本語版。
2011年の12月に出版されました。
私の拙い訳と違って、やはりプロの翻訳はとても分かりやすいですね!
主人公の女の子の感嘆のセリフなどをより直接的に訳していたからでしょうか、中国語版の方が、日本語版よりも、幼い年齢に感じていました。
そういう意味では、中国語版の方が、よりリアルに子どもの気持ちを感じられたように思います。
チュンチエ―中国のおしょうがつ
「チュンチエ」というのは「春節」つまり、太陰暦のお正月で、中国では一般的に、この時期を大型連休として家族で過ごしています。
この絵本の原題は、「团圆(tua2n yua4n チュアンユアン)」。
非常に、日本語に訳しにくいのですが、正確には「離散していた家族が再会する」という意味です。
私が訳した際には、「おかえり」と訳していました。
多くの一般的な中国人は、この原題の通り、春節以外の期間を家族別々で過ごし、春節にだけ家族みんなで過ごしています。
日本人の感覚で言えば、お正月とお盆が一度にあるようなものでしょうか。
「農民工」と呼ばれる出稼ぎ労働者、特に父親は農村部から都市部へ出稼ぎに出て、春節のみ故郷に帰り、家族と過ごします。
それをテーマにしたのが、この絵本です。
最近、中国の春節について日本でニュースになるのは、中国人旅行客で、その購買力などが話題になりがちです。
しかし、「一定の経済力を持つ者」にしか観光ビザは発行されません。
言い換えれば、日本に観光に来られる中国人というのは、ある程度以上のお金持ちです。
一般庶民は、春節に故郷で家族と過ごせない人すらもいます。
そんな中国庶民の、切なくも温かい春節に触れられるのがこの絵本。
とてもとても優しくて、最後の方は涙が溢れてなかなか読み進められませんでした。
私は、自分で勝手に行った翻訳後から、正式な日本版が出版されるまでの間に、子どもが生まれました。
父親となり、父親の気持ちとしてこの絵本を読むと、ホントに切なくて切なくてしょうがなかった。
そんな切なさの中に、中国庶民の家族への優しさがあるんだなぁと感じさせられる絵本です。


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<参考リンク>
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